太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

満月の迷信

2013-08-21 07:36:25 | ハワイの自然
満月だったので、タンタラスの丘に行ってみた。

ここは夜景で有名だけれど、私たちが見に行ったのは夜景じゃなく、

ナイトブルーミングシリアス(月下美人)の花なのだ。

丘の足元にも、道路沿いの壁一面にも、月下美人が群生しており、

開花するとそれは見事だ。


月下美人は満月の夜だけ咲く、といわれているけれど、

満月じゃなくても咲いているのを何度も見たことがあるから、どうやらそれは迷信らしい。

でももし満月の夜だけ咲くのだとしたら素敵だろうという思いがあって、

満月の夜にはこの花を見に行きたくなってしまうのである。




満月とワイキキの夜景



夫が、群生している月下美人の花を数本切ってきた。

戻ってから、月の下に生けてみた。



満月とナイトブルーミングシリアス






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「こ」が伝わらない

2013-08-19 20:05:15 | 日記
英語で伝えたくても伝えられない言葉がたくさんある。

その中のひとつ。

「こ」が伝わらない。




こぎれい

こ汚い

こ憎らしい

こざっぱり




きれい と こぎれい は違う。

憎らしい と こ憎らしい も違う。


だけど、どう違うかと言われても、説明に困る。


英語にも、「こ」に当たる言い回しがあるかもしれないし、

「こ」の、有る無しの違いは、日本人じゃなくてもわかるのだろうが、

説明できないからどうにもならん。

言葉にできない微妙な感覚を、せめて夫だけでもわかってくれたら…

全然重要なことじゃないから、日常には全然差し支えないけど

伝えられたらどんなにいいだろうと思うのである。










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スイカの汁といちごみるく

2013-08-18 09:07:27 | 日記
蒸し暑い夜に、冷たく冷やしたスイカにかぶりつく。

ほの甘い果汁が口の中いっぱいに広がって、しゃくしゃくと一気に食べてしまう。

スイカは大好物、というわけではないにしても、

暑くなると食べたくなる果物のひとつだ。

ところが、

なぜか知らないが、スイカの汁が好きじゃない。

いや、正確には、お皿に残ったスイカの汁が好きじゃない。


数秒前にはスイカの中にあったその果汁が、いったんお皿に落ちた瞬間、

それはただの「汁」になる。

家族の誰かが、そのたまった汁を飲み干すのを見ると(行儀がいいとはいえないけど)

口には出さないが「ウエー・・・」と思う。




イチゴは大好きだ。

イチゴはそのまま食べるのが1番だと私は思っているのだが、

前の夫も、過去につきあった何人かの相手も、イチゴをスプーンの裏でつぶしたのに、

牛乳や砂糖を混ぜて食べるのが好きだった。

私はそのぐちゃぐちゃに混ざったピンクのものを見るのがイヤで、

見ないようにして自分のまるごとのイチゴを食べた。





リンゴは大好きだけど、リンゴの皮を歯で噛むのを想像するだけで鳥肌がたつ、という友人がいたっけ。


食べられないほどじゃない、だけどできれば食べたくないもの。

なぜそれが嫌なのか、自分にも理由がわからないもの。

不思議だ・・・・








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ホントにいる地上の天使

2013-08-17 07:33:16 | 不思議なはなし
天使は時に、人間として現れて助けてくれることがある。

夫と知り合ってまもなくの頃、夫が友人たちと伊豆にサーフィンに出かけて、

エイに刺されて救急病院に行ったことがあった。

その話を、もう何度も聞いていた。顛末はこうだ。



下田に着いたその日は満月で、夜サーフィンをしようじゃないか、ということで

さっそくみんなで海に繰り出し、ざぶざぶと水に入ったところにエイがいて、

足の裏から刺さったエイの尾が、足の甲までつきぬけた。

一緒に行った仲間の中の、みんなよりも日本語が話せる人が、

後部座席でエイの毒がまわってきて痙攣している夫を乗せて、救急病院を探しまくってくれた。

やっと見つけた病院で手術して一泊することになり、

翌朝、その友人が迎えに来て、夫のアパートまで送ってくれた。



という話なのだが、

私は今の今まで、この「みんなより日本語を話せる友人」は、てっきり仕事仲間だったJだとばかり思っていた。

カナダ出身のJは、日本語検定にもらくらくパスするほど日本語が堪能だった。

ただ、インドア派に見えるJがサーフィンをするのは意外だとは思った。



ところが、それはJではないらしい。

「Jだとばかり思ってた。じゃあ誰なの?」

「それがよくわからないんだよ」



Aと名乗るその人物とは、1度だけ下田で会ったことがあった。

満月サーフィンに出かけた夜、Aも一人でそこに来ていて、たまたま現場に居合わせたのだという。

エイに刺された時、夫は来日して数ヶ月だったし、一緒にいた仲間も似たようなもので、

あわてふためいているところにAがすべてを取り仕切ってくれた。

翌日、夫と一緒に帰ると言う仲間たちに、せっかく来たのだからサーフィンを楽しみなよ、といって

片道2時間以上かかる道のりを一人で送ってくれたのだった。


「じゃあAは恩人じゃないの。Aの何がよくわからないのよ?」

「名前も聞いた、下田に住んでいることも聞いた、電話番号も聞いた、そのほかのことも

いろいろ聞いたはずなんだけど、まるっきり覚えてないんだよ。

あとで電話をしてみたけど、通じなかったしね」



夫が日本にいた5年の間に、何度も下田に行ったけれど、2度とAに会うことはなかった。



Aは夫のために、そこに現れた、地上の天使に違いない。



結婚したあとの或るお正月に、二人で山奥の神社に行こうとドライブしていた折に

車に酔った夫が、ひとさまの家の脇でもどしてしまったことがあった。

そこは小さな側溝になっていたから、その家の人に謝って、水を借りて流そうと思ったものの、

新年早々、気を悪くされるだろうなあと暗い気分になっていたところに

その家のご主人が出てきた。

ひたすら謝る私に、ご主人は気を悪くするどころかおおらかに笑って

「いいだよ、いいだよ、水で流せばいいことだから。

全部出しちゃえばスッキリするだから遠慮しないでいいだよ」

夫の背中をさすりながら、どこの国から来たのか、日本は好きか、いろいろ話しかけてくださって

ありがたくて涙が出そうだった。


数日後、ちゃんとお礼を言うために、その家を探してみたのだが、

どこをどう走ってみても、その家がみつからなかった。

この看板を覚えてる、そうそう、この道も通った、という場所を何度ぐるぐるまわって、

とうとうわからずじまいだった。


あのご主人も、新年に出会った地上の天使に違いないと私は思う。







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きよみちゃん

2013-08-15 07:42:28 | 人生で出会った人々
子供の頃、お習字を習っていた。

週に1度、先生が家まで来てくれて、毛筆と硬筆と、

「くろんぼ」(放送禁止用語じゃなかった?)という名前の、固いクレヨンのようなペンで書くのもあった。

それは本体が全部黒い芯でできていて、プラスティックのケースに入っている芯を、押し出しながら使う。


先生の名前は「きよみちゃん」といった。

祖母も母も「きよみちゃん」と呼ぶので、私たち子供も、先生と呼ばすにそう呼んだ。

きよみちゃんは二十代前半だったと思う。

まっすぐな長い髪を額の真ん中で分けて、華奢なからだに切り替えのないワンピースがよく似合った。

女優の梶 芽衣子に雰囲気が似ていた。



きよみちゃんの指は細くて長く、爪は、いつも角をまあるく切ってあり、

そこに透明のマニキュアをつけていた。

その爪がとてもきれいで、私はきよみちゃんが朱で直してくれる字ではなく、

指ばかり眺めていた。



きよみちゃんは、『時計やさん』のおばさんの娘さんだということは知っていた。

『時計やさん』は家から1キロほどのところにあり、母と時々訪ねていったことがある。

ずっとあとになって、私が大人になってから、『時計やさん』は両親の仲人さんだということがわかったけれど、

もうそのときには時計やさんは店をたたみ、どこかに引っ越したあとだった。




爪を切るとき、時折きよみちゃんのことを思い出す。

角をまあるく切って、透明のマニキュアを塗るのが好きだ。




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