アンドレイ・クルコフというウクライナはキエフ在住のロシア語作家の作品です。タイトルどおり、ペンギンが出てきてシリアスな物語に茶目っ気のスパイスがなんともいえずいい感じです。読んでいて「ふふふ。」と思わされたり、「もしかしたら罠かも」なんてドキドキさせられたり。
読んでいる途中がおもしろくて、結末はう~~ん・・・。というところ。余白があります。無理やり落としどころをつくらないのもまた良しかと思います。
訳者沼野恭子さんのあとがきもくどくなく、でもうまく余白部分を埋めてくれそうな解説もあり、いいです。
この「ペンギンの憂鬱」は20ヶ国語に訳されているそうです。アンドレイさんの作品には小動物が出てくるものが多いんだとか。他の作品も読んでみたいのですが、残念なことに日本語訳が少ないのです。ロシア文学はドストエフスキーやトルストイだけではありません。現代ロシア文学もどんどん翻訳をお願いしまーす!