『紙の月』というドラマを見ています。角田光代さん原作の本も出ていますね。
原田知世さんが演じる梨花という主人公が少し前の自分を見ているような気がしてきます。
友人のセリフ「梨花はもがいていたのよ」というところ。「もがく」。
言葉にするとなるほどと思ってしまいます。そういう感覚の女性、実は多いのかな。角田光代さんは女性の心の機微を描くのがとてもうまい。思い返してみると、私もたしかにもがいていた時期がありました。
当時はもがきながらも何か自分の好きなことを世間一般の定規で測れるようにしておこうと、検定試験にチャレンジしたりしていました。そして手に入れたのが、北海道フードマイスターとアロマテラピーアドバイザー。だからといってドラマのようにすぐに仕事に直結して役立ったわけではありませんでしたけどね。スタートは「自分の好きなこと」でしたから。
ま、仕事とは関係なく好きなことにまっすぐ向き合う時間(試験に向けての勉強)は楽しかったし、試験直前や本番の緊張感、終わった後の開放感は学生時代に戻ったかのようでした。たまにはいいものです。
でも、資格を手に入れてもやっぱりそのあとが続かないとつまらないし、知識も錆びついていきます。そこでまた「もがき」が芽生えてしまうわけです。
「もがき」はけして楽しい感覚ではありません。自分を必要以上に卑下してしまうことにもつながりかねません。
私には字は違うけれど、同じ名前の友人とうこさんがいます。とうこさんは私より一回りくらい年上のかわいらしい人です。以前とうこさんと食事をしてとても心に残った言葉。「何者でもない自分がいとおしいんだよ」。
とうこさんが同窓会で昔のお友達と会っておしゃべりしたことだったかな。正確なところは忘れてしまいましたが(いいかげんですみません)、何者でもない自分っていうのもありなんだと気づかせてくれて、ふっと心が軽くなったのでした。
そんなことを『紙の月』を見ていて思い出しました。
このドラマ、この先どう展開していくのかたのしみです。