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またしても村上隆のことかと思ったら、村上春樹の方であった。

2010年11月01日 02時59分15秒 | 文学・思想
またしても村上隆のことかと思ったら、村上春樹の方であった。
ロシア帝政時代にような深刻な時代に日本は既に突入しているが、そういう雰囲気はまだまだ実感できないところである。一応スーパーへ行けば食品は溢れかえっている。別に取り合いをすることもない。特別なバーゲンは別にしても、エコ家電もエコカーも順調に売れ続けている。

しかし、こういう状態がポジからネガに反転する場合は一瞬である。
前兆としてはそれはあり得ることであろう。

あるていど心の準備ではないが、ドストエフスキーやトルストイを読んでおくのは良いことだと思う。



http://mainichi.jp/select/today/news/20101101k0000m030143000c.html?inb=tw


ロシア:村上作品が生む「再発見」

2010年11月1日 2時16分 更新:11月1日 2時31分


モスクワの書店で村上春樹の「TVピープル」を手に取る日本人の留学生=大前仁撮影
 23冊。モスクワ市内の大手書店で、村上春樹さんの翻訳作品を数えてみた。最新作「1Q84」はまだ発売されていないが、主要作品はほぼそろっているようだ。ロシアにおける人気ぶりを実感できる。

 棚の作品を眺めていた女子大生のオリガさん(20)。「ここにある作品はすべて読んだ」と話す。初めて村上作品に触れたのは数年前。友達に薦められて「海辺のカフカ」を手にしたら、とりこになった。「話の展開が面白いし、何よりも作品に込められた哲学が好き」

 法律事務所勤務のエフゲニーさん(28)は、地下鉄サリン事件を取り上げたノンフィクション「アンダーグラウンド」を買うつもりだ。「すべての作品が輝きに満ちているし、心の奥深くを描いている。今のロシアにはこんな作家はいない」と絶賛する。特に若者の間で人気が広がっているという。

 ロシアで98年に初めての村上作品が発売されて以来、幾つかの出版社が翻訳本を出してきた。そのうちの一社「エクスモ」は過去6年間で300万部以上を出版。他に、100万部超を出した出版社もある。

 村上さん本人が認めるように、作品には19世紀のロシアの文豪ドストエフスキーの影響が読み取れる。例えば「父殺し」をテーマにした「海辺のカフカ」については「ドストエフスキーの代表作である『カラマーゾフの兄弟』を消化できた作品」(亀山郁夫・東京外大学長)との評価も聞かれる。

 だからロシア人が共感を抱くのだろうか? 村上作品7冊を翻訳してきたセルゲイ・ロガチョフさん(57)に尋ねると、意外な答えが返ってきた。

 「今の若者は必ずしもドストエフスキーを読んでいるわけではない。それよりも村上さんの作品の質が高く、純粋に面白いから読まれている」。ソ連時代には「世界一の読書大国」といわれたが、ソ連崩壊後に欧米の大衆文化が押し寄せたことから、かつてのように自国の古典を読まなくなっている。

 「むしろ」とロガチョフさんは強調する。「一定数の若者は村上作品でドストエフスキーに関心を抱き、その作品を読むようになっている」。つまり村上さんが、ドストエフスキーの祖国でその魅力を「再発見」させる役割を果たしているというのだ。

 「今では村上さんがロシア文学の流れに与える影響が大きいのだ」。ロガチョフさんはこう結んだ。【モスクワ大前仁】