ポンコツPAK-ブログサイド-

ミリオタ、エルンストによるブログです。
pixivでダラダラ描いてます。

七六五隊始末記(仮)やよいと伊織+幕末軍楽のこととかいろいろ

2011-10-30 23:53:41 | お絵かき

西洋式調練の午前のレッスンを終えて屯所に戻るやよいと伊織。いおりんは射撃訓練、やよいはブリキ太鼓の稽古。
大河ドラマなどの鳥羽伏見(千両松の戦闘あたり)で錦の御旗と一緒にトンガリ陣笠の官軍兵が太鼓と横笛で行進してくるシーンがありますね。
「なんで銃隊に太鼓持ってるヤツがいるの?」と疑問に思う方もおられると思います
平安神宮の時代祭で官軍・丹波山国隊に扮装した方々も鼓笛隊の演奏する行進曲で練り歩いております。一方、奥羽越列藩同盟軍に加わった現・山形県上山市にもよく似た音楽を演奏する
幕末期の鼓笛隊が伝承されてます。
それもそのはず、最初にこの音楽を習得したのはオランダ軍から軍楽を学んだ幕臣だったからです。

当時のヨーロッパでは戦列歩兵の指揮・号令に太鼓は無くてはならない存在でした。当然日本でも洋式調練でそのまま導入されてました。

安政年間、長崎で始まったオランダ海軍の軍楽伝習には、趣味で馬鹿囃子を嗜んでいた幕府御家人などが選抜されて行ったそうです。
もどった彼らが開いた私塾には洋式兵学を学ぶ各藩から伝習生が訪れ、この軍楽は全国に広まっていきました。
日本のマーチングバンドの始まりのようなものですね。つまり、戊辰戦争では官軍だけでなく、佐幕諸藩など両陣営でほとんど同じ行進曲が演奏されてたわけです。ちなみに楽譜は太鼓のしかなく笛は口伝だったため、各地に残る同じはずの曲はそれぞれ、微妙に違う曲として伝承されてるみたいです。

靖国神社にある「銃隊式沿革図」には、講武所の学生と思われる武士二人組が、ゲベール銃に胴乱や太鼓をぶら下げて担ぐ姿が描かれています。

伊織が担っているのは七六五隊の標準装備であるオーストリア製M1854「ロレンツ」ライフルマスケット銃です。原産国からアメリカ南北戦争の需要で輸出され(北軍で22万・南軍で10万挺。ちなみに南軍では海兵隊の標準装備だったみたい?)、
その中古品が日本の戊辰戦争で使われた数奇な運命の小銃です。なぜか全長や口径が他国の同時代の小銃と比べてやや小さいのが特徴です。
しかし当の本国では普墺戦争で、ドライゼ銃を装備したプロイセン軍と対峙せねばならず、結果はお察しのとおりでございます。

伊織の姿勢が当時のオランダ・フランス・アメリカ北軍などにおける「担え銃」です。現在とは違いますね。
ちょんまげいおりんは結局カチューシャ装備ですが、ぱっつんにすると誰だかわかんなくなるしなぁ…。あとこの半端丈の野袴は切り袴の裾にビロードを張ったものです。

幕府陸軍・仏式伝習第一大隊兵卒

2011-10-17 00:09:20 | 幕末


ひさしぶりの更新になります…。長いこと申し訳ありません。
休日ですらなかなかペンを握ることがなくなってきました。ひたすら寝てるかもな…。

最近読んでる漫画は花沢健吾の「アイアムアヒーロー」と、かわぐちかいじの「兵馬の旗」今回は後者の影響を受けて
幕府陸軍、伝習隊の兵卒を描いてみました。
作中の伝習隊兵士はいまだでのメディアでは一番考証された姿で描かれていますが、贅沢を言うともうちょっとディティールをこう…ね。

なので描いてみました。
ケピの日除け布は「日覆い」すなわち騎兵伝習図に描かれてるように帽子にスッポリ被せるタイプであることが確認されています。
いつもお世話になってる「Men at arms series-Mexican adventure」によればフランス軍制式品はボタンもストラップも露出しない形状のようです。
上衣はフランス軍シャスール兵のメキシコ遠征時の半マンテルを参考に、赤いパイピングを施してみました。
これに関して根拠が次のイラストです。

ブリュネ大尉が描いた、太田陣屋を警備する伝習隊の兵卒。遠景で見づらいですが腰のあたりに切れ込みが入った上着を着ているのがわかります。
これは前述したメキシコ遠征時フランス軍服にも同様の特徴があること、伝習隊の記録にあった「赤い山形袖章」と同様、黄色い山形袖章が
シャスール兵の軍服に付いていたことなどから、その色替え風にしてみた次第です。
あと、海外サイトで見つけた1854年型背嚢(俗に言う「仏式ランドセル」)の実物ディティールアップ写真があったことに興奮し、
後姿も描いてみました。
ちなみにブランケットロールの上に乗っかってるのは簡易な飯盒です(蓋がなく、ちょっと深い皿くらいの感じです)。
M1845胴乱は腰の真後ろに回してますが、ズアーブ兵など一部の兵科は正面に装備してることもあります。
水筒は1856年型。空気抜きでしょうか、コルク付きの飲み口のようなものが二つ付いております。後年の水筒にも同じ特徴が見られます。
記録などにはありませんが行軍には必要なため、輸入していたと思われます。

銃器は漫画作品中に描かれていたシャスポーMle1866小銃で描いてみました。左側面から見た図が少なく、google先生で海外サイトを必死で探しました…。