実はこんなのを作ってます。前回レスにおける桜丘さまの察しのとおり、幕府陸軍の階級章陣笠、陸軍笠の色つき資料です。陸軍笠の資料は複数の文献にあるのですが、
どれもモノクロなのでせっかくだからカラーで再現しちゃおうと思いました。色の記述も複数の資料が一致しましたのでこれを基にしようと思います。
いまのところ、レキション羽織の階級区分をどう表現しようか悩んでます。
唐突ですが、前回の記事の桜丘さまへのレスをここにてさせていただきます。
絵の鉄鉢陣笠の原型はおそらく、火事場頭巾などを簡素にした形状のようです。初期の講武所の洋式調練は火事場装束などを流用して
行われていたのでその名残かもしれません。しかしこの陣笠も鳥羽伏見戦までに総勢9連隊近く存在した蘭式歩兵隊全土に行き渡らなかったものと思われます。
仏軍砲兵大尉ブリュネのスケッチには慶応三年時点で筒袖ダンブクロに韮山笠、背嚢を背負った歩兵の一隊が描かれています。(遠めなので正確ではありませんが)
仏式伝習歩兵は歩兵組とは別途に徴収した雇兵で計二大隊ほどの編成にとどまりました。緊迫した情勢では、従来の蘭式歩兵の方が手っ取り早く、多く雇用出来たんでしょうね。
その際には洋装の軍服ではなく、足袋職人を動員して型紙で量産できた筒袖上着にダンブクロを着用させたのでしょう。韮山笠も紙縒りと漆でできちゃいますし。
薩摩藩など、戊辰戦争期の新政府各藩兵は写真が多く残っていて参考になります。特に、薩摩藩士の記念写真には舶来のマンテル姿の藩士の中に
イギリス軍のベルトがキラリと光っていたり中古品の普及具合がなかなかに面白いです。
古写真に関する隠れ良資料があるのですが、大学時代に図書室で見つけた本なのですが
毎日新聞社の『決定版 昭和史』シリーズの中の「昭和前史・文明開化 幕末~明治18年」という図版があります。
比較的高解像度の幕府軍調練写真や仏軍士官と幕軍士官の集合写真に洋式化された八王子千人同心の軍装姿、薩摩藩士の集合写真などが載っています。調べてみてはいかがでしょうか。
本当に、手前のイラストで幕末軍装に興味を持っていただけて本当にうれしく思います。伝習隊のイラストは自分でも、もう一度描きたかったりします。桜丘さまもぜひ!
ぜったい現用軍隊よりも研究しがいがあると思うんだけど、なかなか火がつかないのが悩みです。
(まとまった資料もないですし、おととしに出版された『武器と防具 幕末編』が最新の資料とでも言いましょうか)
これからも進めていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。