「八重の桜」はとっくに戊辰戦争突入してますね。
相変わらず大河の幕末モノ(戦国もか?)の考証に関しては細々ツッコミ入れてたらキリがないのでもう何も言いません。まあ今までよりは頑張ってるかなという感じですが。
まあ、ゲベール銃の装填動作(ところどころ変な点はあれど…あとスピード)や、実物のウェストリーリチャーズ銃、スペンサー銃の独特の装弾方法を公共の電波で見られるとは、良い時代になったと思います。
(ドラマ中で初めて尚之助さんがスペンサー銃を持ったとき、うっかりレバーをコッキングして未使用の弾丸を排莢してしまい、一瞬「え!?」って顔をするのを私は見逃さなかった)
今回は薩軍のモルチール(臼砲)が出てきたね…あれ、差火式!?ペイピースじゃなくて?
ドラマ中では会津藩/新選組の布陣した伏見奉行所周辺の戦闘が描かれましたが、その横の鳥羽街道の戦闘時の幕府軍勢を描いてみました。
左から幕府歩兵組の将校(歩兵差図役)と兵卒、そして変な格好のは京都見廻組の隊士です。
歩兵組士官は規定の陸軍笠をかぶり、レキションに立襟のチョッキ、ズボンにブローガンズという服装です。
腰には刀帯で吊った黒い突兵拵、右手のはスミス&ウェッソンモデル2アーミー拳銃(開陽丸からの引揚品などから推定・絵のはちょっとでかいけど)です。
兵卒は以前描いたチャールズ・ワーグマンのILNの挿絵と「陸軍歴史」内の絵図などからディテールを推定した軍装です。
官給の脇差が朱色なのは「銃隊式沿革図」の一部から。たぶん複数の業者(道中差売ってた商人らしい)が請け負ってたはずだからいろんなバリエーションがあったことでしょう。小銃はエンフィールドP1853ライフルマスケットです。
鳥羽街道での見廻組は銃がない刀槍装備で敵陣への最初の白刃突撃で多大な犠牲を出しましたが、生き残った者は倒され放棄された歩兵隊の小銃を拾い、逃げ戸惑う歩兵を叱咤しながら反撃の戦列に加わりました。
イラストの隊士は日輪前立付笠シコロの阿古陀形兜にフロックコート、義経袴に臑当、太刀を装備して拾ったエンフィールド銃を持っております。
笹間良彦先生の再現画を基にしました(そちらでは槍を持ってます)。しかし出典は書いておらず、おそらく明治期に描かれた絵巻「錦の御旗」とおもわれます。
隊士の服装は烏帽子に直垂陣羽織、端反り陣笠に襷掛けした小袖に義経袴+籠手と臑当装備、当世具足姿の者などゴチャゴチャです。
薩摩藩兵の半首笠の形状が現物と違うなど絵巻にはおかしな点もありますが、もし架空だとしても絵師は何を思ってこんな珍妙な組み合わせの軍装を描いたのか、とても気になるところです。
可能な限りの考証をモットーとしておりますが、今回の見廻組隊士の軍装は考証というよりインパクト優先でした。だってすごいよこのファッション!