ポンコツPAK-ブログサイド-

ミリオタ、エルンストによるブログです。
pixivでダラダラ描いてます。

西部の南北戦争・その2 もうひとつの「グローリー」

2015-05-21 20:18:51 | ミリタリーな話題


タイトルでは西部って銘打ってるけどそれは地域的な話でありまして、南北戦争におけるこのあたりの戦線の呼び名は”ミシシッピ川流域戦線”となります。

”流血のカンザス”の時期を経て、戦争直前に準州から格上げされた自由州・カンザスの第1志願歩兵(有色人)連隊の伍長です。

映画「グローリー」でおなじみマサチューセッツ第54連隊がワグナー砦を攻撃する1日前、遥か西部のインディアン準州(現在のオクラホマ州)でも北軍黒人部隊がチェロキー族などのアメリカ先住民を主力とした南軍部隊と激戦を繰り広げていました。

カンザス第1連隊はミシシッピ川流域戦線におけるキャビンクリークやハニースプリングスの戦闘を北軍を勝利に導き、東のワグナー砦の戦いに並んで黒人兵士の勇敢さを示しました。

軍装は一般的な当時の北軍兵士の野戦装備です。フォレージキャップにサックコート、下士官用の側線のついた空色ズボンというものです。野戦では目立つためか将校下士官ともに兵卒用の無地のズボンをはくことも多かったようです。

小銃はスプリングフィールドM1842改造ライフルマスケット(元々滑腔マスケットだったM1842にライフリングとリアサイトを追加した在庫処分品)で、69口径のデカいミニエー弾を撃ちます。
彼らが装備していた小銃に関しては諸説ありましたが、書籍資料に明記されたもので描いてみました。

彼らが対峙していた敵部隊のうちのひとつがこちら↓

以前pixivに投稿した絵ですみません。

南軍将官でチェロキー族長でもったスタンド・ワティ准将のもと、インディアン準州で主力として戦ったチェロキー第1騎馬ライフル隊です。(イラストでは1863~4年ごろの軍曹という設定で描かせていただきました)
白人兵と同じ兵科色コードのついた黒いスロウチハットに軍曹の階級章付の灰色のシェルジャケット、鹵獲した空色のズボンにUS章バックルベルトという姿。
この絵ではホルスターに入ったコルト系パーカッションリボルバーにDガードボーウィーナイフを腰に装備し、銃身を切り詰めた双銃身ショットガンを持っております。この他にもエンフィールドP1861などのミニーライフルや
雷管式に改造された旧型狩猟ライフルなど様々な武装をしておりました。

ちなみに彼らを含む南軍インディアン旅団は、南北戦争の終結以後も2ヶ月以上戦い続けた「最後の南軍部隊」となりました。

そんなわけで、はるか西部では北軍の黒人部隊と南軍のインディアン部隊という両陣営の非白人部隊同士が銃火を交えるという現象が起きていたのであります。

西部の南北戦争その1・境界州の南軍ゲリラ(ブッシュワッカーズ)

2015-05-14 21:05:28 | ミリタリーな話題

休みがない!(涙)再開宣言出したのに全然絵を描いてませんでした。とりあえず一枚。
Hurrah!For Southern rights, hurrah!

南北戦争時、境界州だったミズーリ州内部は北部派と南部派に分裂。南北両陣営に州から兵士が参加し、州内では南部派ゲリラと北軍や民間人との間で凄惨な戦闘が行われていました。

その中でミズーリからカンザスにかけて暴虐の限りを尽くしたウィリアム・クァントリル率いるゲリラ部隊、クァントリルレイダースの民兵だったジェシー・ジェームズの服装です。
この連中が何よやったかは、まぁwikiを見てもらえばわかります。↓

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%99%90%E6%AE%BA

映画の題材になったりでご存知の方も多いと思いますが、戦後兄のフランクやゲリラ仲間のヤンガー兄弟などと”ジェームズ=ヤンガーギャング”と呼ばれた強盗団を結成して列車や銀行を襲いまくった、あのジェシー・ジェームズでございます。
1876年のヤンガー兄弟逮捕後に組んでいたフォード兄弟に賞金目当てで裏切られ、1882年に背後から撃たれて殺されました。
彼の半生はウォルター・ヒルの映画「ロング・ライダース」(高校生の頃に昼のTV放送で見て以来好きな映画)や、最近だとブラッド・ピットが演じた「ジェシー・ジェームズの暗殺」などが知られてますが、題材のほとんどは南北戦争後をメインにしています。


当時南軍兵士の間で野戦服としても使用されていた”戦闘シャツ”(正式な色や形はなく、通常シャツの上から重ね着された)を着用し、鹵獲品の北軍下士官用ベルトバックルを着用しています。クァントリルの部下の写真には同じベルトをした隊員が複数おり、鹵獲物資の中でも人気があったのかもしれません。
銃は写真中では44口径コルトM1860リボルバーを手や腰に合計3挺も装備しています。いくらアメリカ人でもあんなでかいリボルバー3挺も腰にぶら下げるのはさすがに…なので絵では2挺にさせていただきました。

他の写真ではレミントンニューモデルアーミーやコルト51ネイビーなどの拳銃に各種小銃/カービン、ボーウィーナイフなどがみられます。


自分がこの辺りの歴史に最初に触れたのは厨房の時に読んだ伊藤明弘の「ベル☆スタア強盗団」でした。