『 誓い 』
今夜は中秋の名月。
満月と一致するのは珍しいことらしい。
この『 誓い 』は、これまでに2回アップしているが、この時期になるとまた・・・という気になってしまう。
以前アップした際のコメントと共に、もう一度・・・。
何故だろう? 秋の風を感じるころになると、無意識のうちに夜空を見上げ、月の姿を探していることがある。
まさに今夜、もっともポピュラーな十五夜の中秋の名月に始まり、十三夜、そして十日夜の月と、古くから伝わる様々な風習が月を愛でる習慣となって現在に至り、それが9月、10月、11月と“秋”という季節の間に続くからなのかもしれない。
エネルギーの象徴ともいうべき太陽が放つ光の圧倒的な強さと違って、月の光には静けさの中に秘められた優しくも逞しい力を感じる。
だからだろうか・・・、月と対峙していると、自分の中にも何か新たな力が湧き上がってくるような・・・そんな不思議な気持ちになる。
そして自分自身に対して何か誓いをたてずにはいられなくなる。
それは「頑張るぞ!」みたいな単純なものであったり、時には人生に大きな意味を持つとんでもない誓いだったり・・・。
2005年秋のボザール・ミュー個展に出品した新作の中に、4点の天体シリーズ作品があった。
今回ご紹介する『 誓い 』はその中の1点。 40cm×55cmというサイズで、私が描く中では大きな部類に入る。
この時はとにかく思いきり大きなお月様を描きたかった。
真っ黒に近い濃紺の中のうっすらと黄色味を帯びた月色・・・。 ほかの色は何もいらない・・・くらいの気持ちだった。
だからなのか、後ろ姿でたたずむ猫は自然と黒猫になった。
満月と一緒にこの黒猫を連れて帰ってくださることになったOさんが、ギャラリーの壁に掛けられたこの絵を初めてご覧になった時の様子は、今でもはっきりと思い出すことができる。
Oさんの視界にこの絵が入った瞬間、それまで交わしていた会話がプツンと途切れ、その身体が吸い寄せられるかのようにス~っと絵の前に・・・。 そして両の指先が静かに額縁の下辺の両角に添えられた。 もし目の前の絵が人間だったとしたら、そのまま抱き締めていたのではないかと思えるような・・・そんな不思議な緊張感が漂っていた。
しばしの静寂のあと、その緊張感を解きほぐそうと声をかけてみた。
交わす会話はほとんどうわの空で、かろうじて相槌を打ちながらも、その視線が絵の上から動くことはなかった。
後日、絵がご自宅に届いてからの話をOさんから聞いた。
「思ったよりも大きくて、びっくり! それに、後ろ姿の猫が黒ちゃんだって気が付かなかった」
「えぇぇ~っ! あんなに大きいのに・・・」と驚きの声をあげながら、私は心に中でおおいに納得していた。
あの黒猫は私自身であり、同時に縁あって絵の前に立った方々一人一人であって欲しいと願っていたから・・・。
きっとOさん自身が絵の中の入りこみ、黒猫と同化して満月を見ていたのだろう。
そしてOさんも、月が持つ不思議な力の虜になってしまった一人に違いない。
はたしてOさんは満月を前に何か“誓い”をたてたのだろうか?
それは未だに聞いたことがない。
秋の風が吹くと思い出す一作・・・。
今夜は中秋の名月。
満月と一致するのは珍しいことらしい。
この『 誓い 』は、これまでに2回アップしているが、この時期になるとまた・・・という気になってしまう。
以前アップした際のコメントと共に、もう一度・・・。
何故だろう? 秋の風を感じるころになると、無意識のうちに夜空を見上げ、月の姿を探していることがある。
まさに今夜、もっともポピュラーな十五夜の中秋の名月に始まり、十三夜、そして十日夜の月と、古くから伝わる様々な風習が月を愛でる習慣となって現在に至り、それが9月、10月、11月と“秋”という季節の間に続くからなのかもしれない。
エネルギーの象徴ともいうべき太陽が放つ光の圧倒的な強さと違って、月の光には静けさの中に秘められた優しくも逞しい力を感じる。
だからだろうか・・・、月と対峙していると、自分の中にも何か新たな力が湧き上がってくるような・・・そんな不思議な気持ちになる。
そして自分自身に対して何か誓いをたてずにはいられなくなる。
それは「頑張るぞ!」みたいな単純なものであったり、時には人生に大きな意味を持つとんでもない誓いだったり・・・。
2005年秋のボザール・ミュー個展に出品した新作の中に、4点の天体シリーズ作品があった。
今回ご紹介する『 誓い 』はその中の1点。 40cm×55cmというサイズで、私が描く中では大きな部類に入る。
この時はとにかく思いきり大きなお月様を描きたかった。
真っ黒に近い濃紺の中のうっすらと黄色味を帯びた月色・・・。 ほかの色は何もいらない・・・くらいの気持ちだった。
だからなのか、後ろ姿でたたずむ猫は自然と黒猫になった。
満月と一緒にこの黒猫を連れて帰ってくださることになったOさんが、ギャラリーの壁に掛けられたこの絵を初めてご覧になった時の様子は、今でもはっきりと思い出すことができる。
Oさんの視界にこの絵が入った瞬間、それまで交わしていた会話がプツンと途切れ、その身体が吸い寄せられるかのようにス~っと絵の前に・・・。 そして両の指先が静かに額縁の下辺の両角に添えられた。 もし目の前の絵が人間だったとしたら、そのまま抱き締めていたのではないかと思えるような・・・そんな不思議な緊張感が漂っていた。
しばしの静寂のあと、その緊張感を解きほぐそうと声をかけてみた。
交わす会話はほとんどうわの空で、かろうじて相槌を打ちながらも、その視線が絵の上から動くことはなかった。
後日、絵がご自宅に届いてからの話をOさんから聞いた。
「思ったよりも大きくて、びっくり! それに、後ろ姿の猫が黒ちゃんだって気が付かなかった」
「えぇぇ~っ! あんなに大きいのに・・・」と驚きの声をあげながら、私は心に中でおおいに納得していた。
あの黒猫は私自身であり、同時に縁あって絵の前に立った方々一人一人であって欲しいと願っていたから・・・。
きっとOさん自身が絵の中の入りこみ、黒猫と同化して満月を見ていたのだろう。
そしてOさんも、月が持つ不思議な力の虜になってしまった一人に違いない。
はたしてOさんは満月を前に何か“誓い”をたてたのだろうか?
それは未だに聞いたことがない。
秋の風が吹くと思い出す一作・・・。