抜かない歯医者のひとりごと

歯の健康は全身の健康につながる。渋谷で開業中の保存学認定医が、なるべく歯を抜かない治療にまつわるトピックを語ります。

【歯は無駄な臓器です。】だからこそ、いとおしいのです。大切にしてほしいのです。

2014-01-11 | 歯科治療


ギリシャの哲学者セネカの著書『人さまざま』の通り、紀元前から、人間はその本質は変わってないのだ、と、つくづく、思い、確認し、確信します。

(今さらですが、…本当に、改めて、人それぞれ、さまざま、


【患者さんもさまざま】です。


通院しない(かよわない)というのと、通院できない (かよえない)とでは、     全く違います!… … …。


 口中、虫歯で穴だらけ、まだ二十代の会社員の男性。

 《忙しくて通えなかった。》

ウソですね。
 こういう人は、おそらく仕事もできないのでしよう。

 案の定、(私はレントゲンを見せながら1時間治療し、説明したのに。)
  二度来て、あとは無断キャンセル。
   駄目ですね。


   私は、親友に、某一流保険会社の社長が居ます。
  名前を言えば、其なりの知られた人です。

   この友人は、30年以上、歯医者に行ってません。

   「自分は唇が長く、話してても、歯が見えないんだ。」と、ウソぶいています。

  怖がりのせいもありますが、

  「歯なんか無くても食える。」と言って、私とよく酒を飲み、
確かに、おつまみもうまそうに食べてます。


  ただ、「近頃、耳が時々、飛行機などに乗ると、難聴になり、回復が遅い。      それで、整体に行くと、具合がいいんだよ。」
 とは私に訴えます。

 自分が、歯が、ガチャガチャで、虫歯だらけ、抜けたままのは、それっきり… …というのがいいわけがないのは承知しているし、


 歯と耳(眼も)はダイレクトにつながっているのも、わかっているし、

  顎が背骨につながっているのも。


  また、私から、いい加減、歯医者に行けと、言われ、奥さんにも叱られている。

  しかし、社長で、(土)(日)以外、夕食は、仕事がらみもあり、               毎日、外食、         正直、社長は孤独で、誰よりも働いている。


  しかし、彼は、        《忙しくて、歯医者に行く暇はない。》           とは決して言わない。

  それどころか、         「私が無断キャンセルの患者さんは困る。」      と、言うと、

 「それはそうだ!約束を守れない奴は最低だ。

きちんと仕事してれば、そんなこと、自ずとわかる。
   論外だ。」
 と、断言します。

 むしろ、私の方が、やさしく、
 「いや、やむを得ない時もあるから、当日でなくても、予約を取り直しくれるとか…
   事情を言ってくれればね。…無断は、とにかく困る。」
と言って、なだめるくらいです。


  大企業の社長になった男だ。
   運もあるかもしれないが、

   馬鹿や無能ではなれない。

   言うところの世襲とは無縁の一流の保険会社である。

  仕事はできます。


   さてさて、こんな患者さんもいます。

 「何軒かの歯医者から、この2本はとくにもう抜かないと…。」
と言われた、やはり若い男の患者さん。

で、私が 診ると、左上の小臼歯と、隣の奥歯が大きく溶けて穴が開いている。……


  …ただ、話になりません。

   やはり、口中、他も穴だらけ、治療途中で、全ての歯が、放置されている。

 私は、1時間以上かけて2本の歯を3回治療し、
  さて、次から、歯を作ります。
 「金属でいいですね、きちんとやりましょう。」
  と言うと、


 「私の体の為に金属も含めて何がいいでしょうか? 先生の言った材料をネットで調べます。」
と、その患者さんは応えます。

 私は呆れました。

  全ての歯が、穴だらけ、口も臭い、治療途中のまま…。


 私は、想像はついてましたが、
 「あなたね、材料云々より、全ての歯が治療途中、穴だらけ、1つとしてまともに終えていない。

 バイ菌だらけだ。
  治療途中でやめるくらいなら、何もしないで、歯医者になんか来なくていい。

今のままの方がよっぽど体に悪い。

ただ、まあ、歯で 死にやしないよ。」


  私は、突き放しました。

 「医者に行って健康診断しなさい。」

  治療費は請求せず、引き取ってもらいました。

 あえて言います。一種のクレーマ―で、精神が病んでると思います。


人さまざま、… 患者さんさまざま、……

また、埼玉、静岡から来て、やはり何軒かの歯医者から抜くと言われ、
抜かず、さあ型どり、歯を作ろうというところで、無断キャンセルして来なくなる人もいます。


  おそらく、抜かないところまでは、
  私が治療したので、
   続きは近くの歯医者で、と、いうことでしょう。


   それはかまいません。 実際、私には歯医者自身からの依頼もあるので。

 『何とか、抜かないメドまでつけてくれ。』と……。

  私は大学病院からもよく頼まれます。


   ただ、無断キャンセルは困ります。

  「続きは近くの歯医者でやります。」            と、言ってほしいです。

  礼儀、常識だと思います。


 最も難しい歯を抜かない、残す治療をして、1回に1時間以上かけて、(手術なら、時に2時間。)


 で、遠くから来てくれるので、(私は誰にでもそうですが、)尚更、通う回数を減らそうと、

 1時間の予約を確保したのに、無断キャンセルです。


 難しい治療は、完全予約制なので、


   本当に、時間も(卑しいかもしれませんが)     金も無駄です。


 私は家族も含め、この治療技術=スキルで、プロとして原則生活しているのですから。


正直、ガッカリです。
 (ここまでやってあげたのになあ…)エラソウでしょうか?


  とにかく、歯を抜かない、残す治療は、繊細な治療です。


 私は手袋は使いません。
 本当に、手先、指先のダイレクトの感覚で、
  素の直接の感覚を駆使するのです。


   ただ、大方の患者さんは、皆、いい人です。


 名古屋、三重、茨城、福島から、通ってくれてる人。


 関東圏からは、其なりにたくさんいるし、

 セカンドオピニオンなら、

  北海道、九州、岩手等々…からも。

  ありがたいです。
   恐縮します。
 まだまだ、若輩者ですが、

日々、
    初心を忘れず、
 勉強し、治療技術=スキルを磨きます。


 私はこうした【つむじ曲がり】です。

  相性もあるでしょう。

 私はしかし、絶対、第一印象だけで判断はしません。


 普通は、歯医者に行くのが楽しみだなんて人はまずいません。  (歯のクリーニングして、きれいサッパリするのは気持ちよく、快いですが。)


  ましてや、何軒かの歯医者から(紹介も含め)、    来る患者さんは、        不安と、不信感を大概、抱いてます。


 (正直、私もかなりのプレッシャーです。)


  ただ、歯では急死はしません。


 焦って、抜く(抜かれる)ことはしないでください。

 歯なんてなくても、食えます。

   生きていけます。


 【歯はある意味、無駄な臓器です。】

 だからこそ、             つむじ曲がりの私は言います。


 【歯に命を懸けることはありません。】


 しかしまた、【無駄のない人生なんてつまらないです。】

 【無駄=歯 のない人生なんてツマラナイですよ。】


   歯は顔でもあります。

  【明眸晧歯】         と、言います。
 気持ちよく食べ、噛んで、(快食・快便)


  大口開けて笑えて、臭くなく、快感です。


   何事も、無駄(遊び)のない人生なんてツマラナイないですよ。


    無駄もまた余裕(ゆとり)です、快楽です。

  【歯はある意味無駄な臓器です。】通常、歯の病気ではダイレクトには死にません


  だからこそ、だからこそ、(私は思い、断言します。したいのです。)
【歯を大切にしてほしい。】と。


 焦って、抜く(抜かれる)ことはしないでください。


   繰り返します。【歯科の初心は、まず、その歯が残るか残せるかです。】


  毎度です。
 人生、何事も、
初心不可忘です。


   【無駄=歯】を大切にしてください。、

    【無駄=歯】をいとおしいと、大切にしてください。


  【無駄=歯】を大切にして、少しでも、楽しく過ごす、生きる、人生のたしにしてください。

… …   …無駄のない人生なんて…… …ツマラナイですよ。…

ひたすらツマラナイですよ。【無駄=歯】のない人生なんて……


ただただ、つまらないと思いますよ。



ところで、また、少し…。


因みに、歯を抜かない方法を教えてください、と電話で聞く患者さんが、時々います。


原則、個々、症例が異なるので、電話では応えられません。


なかには、「聞くだけですよ!」という人も居ますが、正直、無礼です。
私の治療は、その実績も技術(スキル)も充分医学的評価を得てますが、

私は医者であり、臨床家です。

学者でも教育者でもありません。


ただの{つむじ曲がり}です。


それに、日々の勉強と、10年以上のその修練の結実であり、貴重な結晶です。


誠意をもって応えますが、といって、

むやみには、教えたくも話したくもありません。………。


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