ムーブメントのテンプ用のヒゲをストックの中から捜し出し、後は時間調整との戦いです。
ヒゲの長さやヒゲ玉の位置を変更しながら調整するもどうしても時間が合って来ません。
仕方なく出来るだけ近いもので妥協し、新たに造り直した木製ベースにムーブメントと時打ちベルを取り付ける。
外装真鍮製ケースは汚れを落とし磨きを掛け、当時の輝きを取り戻している。
文字盤も新たに貼り直しております。その文字盤の大きさ僅か5.5インチ(約14センチ)しかありません。
(前回の記事:セストーマス船時計/1879~1891の修理のトップ写真と比較してみてください)
欠品していた時打ちの調整バーを自作の上、装着。
そして、手持ちのゼンマイ鍵の穴を調整しコレ用に備える。
この平置きの状態でもテンプ式の船時計は当然、稼働しております。
そして、壁に掛ける。。。
やはり、総真鍮製の船時計は美しくもあります。
少しぐらい斜めに掛けようが、振動を加えようが問題なく稼働する船時計。
途中、試しに逆さに掛けてみるも、この状態でも元気に稼働する。
(因みに上下に留め金具があるのは2点で完全に壁に固定するためです)
揺れる船の中でいちいち止まっていては時計として役にたちませんからね。
今から130年ほど前、どんな船舶に装備されていたのですかねぃ・・・。
セストーマス船時計:5.5インチ/1879~1891
米国の時計会社「SETH THOMAS」においては明治期に日本へ時計を輸出してました。
一般的な掛け時計や船時計が今でもたまに見掛けますが現存率は低いですね。
そして、今では振り子式とはちがい時計自体が傾こうが少しの振動でも止まらない
船時計は人気があります。
そんな、SETH THOMAS製船時計がいつものように不動状態で入荷。
本来の真鍮製の輝くボディは黒く汚れ、文字盤も相当な状態(多分、後年張り替え)。
運よく、欠品はスモルセコンドの真鍮リングと時打ち調整バーぐらいで後は揃っているように観えます。
早速、不動のムーブメントを取出し観察です。
「Thomaston」の刻印が有るということは1866年~1930年の間の製造。
そして、旧タイプの商標の刻印が有るということは1879年~1891年の間に絞ることが出来ます。
依って、この時計は116~136年前のものとなります。
何やら乱暴なことも施してありますが、テンプのヒゲが切れていることが致命傷です。
それに時計側ゼンマイの外周取り付け部でゼンマイが破断していることと軸の変形。
ただ、これについては外周取り付け部の方法上、ゼンマイに大きな穴が明けられているため
仕方がないようで、片方は破断していませんので何とかゼンマイは生きています。
早速、テンプを外してみるも切れ落ちたヒゲの切断面が残りのヒゲと合わないという不思議な状態。
残ったヒゲをヒゲ玉から取り除き、外れた方のヒゲを取り付け試験的に可動させてみます。
当然、ムーブメントはクリーニングの上、注油後に初動を行います。
何とか初動確保。
残されたヒゲは巻き数も足りませんので当然、時計は合いません。
6時間ほど動かして、-60分遅れです。
今後はこのムーブメントに合うヒゲをストックの中から捜し出し(多分、期待薄)、調整をしながら平行して
ムーブメント以外の外装のレストア作業となります。
トップ写真は「三ツ矢シャンペンサイダー」のラベル。
時は明治まで遡り、明治32年(1899)に「三ツ矢」の印を商標として登録。そして、明治42年(1909)5月10日
「三ツ矢シャンペンサイダー」を登録商標に。その後、一旦「三ツ矢サイダー」と大正5年(1916)商標登録するも
大正10年(1921)~昭和8年(1933)の間、又もや「三ツ矢シャンペンサイダー」を採用。
丁度、その時のラベルと考えられます。。。(ややこしい・・・)
ここにあるのは「三ツ矢サイダー」の木製看板の上部。丁度「三」の辺りで切り取られている。
「宮内省 御用達」の彫文字。
ご承知の通り、「三ツ矢印平野水」は東宮殿下(後の大正天皇)の御料品として採用されたのが明治30年。
後に、明治45年(大正元年)には皇室や各宮家へ御料品として収める目的で御料品製造所も
新たに建設される。
この木製看板の時代考査としては、大正元年(1912)から宮内省が宮内庁になるまでの
昭和22年(1947)までとなります。(前後35年)
下部が切り取られ欠損しているとは言え、約70年以上は昔の木製看板となります。
4号A自動電話機の在庫品についてお問い合わせを頂きましたので画像を記載いたします。
只今、販売用に在庫している電話機は黒電話機:3機、カラー電話機:1機になります。
当然、全て通信テスト済みで使用可能でございます。
但し、今から半世紀ほど前の電話機であるということを先ずは念頭に置いて頂き、写真をご参照ください。
①4号A自動黒電話機/メーカー不揃/外装艶状態:上/価格:¥18,000-(送料別)
本体:NEC製/受話器:OKI製/ダイヤル:岩崎製(TAIKO)/エンブレム:電電公社(状態:上)
センターラベル:復刻コピーラベル
裏面の状態:ゴム足の状態:良
内部の機器類:富士通製/状態:極上
②4号A自動黒電話機(岩崎製)/メーカー揃/外装艶状態:上/価格:¥18,000-(送料別)
写真赤丸部分に深い傷有り。
本体:岩崎製/受話器:岩崎製/ダイヤル:岩崎製/エンブレム:電電公社(状態:上)
センターラベル:復刻コピーラベル
裏面の状態:ゴム足の状態:良
内部の機器類:岩崎製/状態:極上
③4号A自動黒電話機/メーカー不揃/外装艶状態:並/価格:¥16,000-(送料別)
本体:マツダ製/受話器:マツダ製/ダイヤル:岩崎製/エンブレム:岩崎(状態:上)
センターラベル:復刻コピーラベル/受話器ストレートコードに一部補修跡有り
裏面の状態:ゴム足の状態:劣化潰れ有り
内部の機器類:マツダ製/状態:並
④4号A自動カラー電話機(OKI製)/メーカー揃/外装艶状態:並/価格:¥23,000-(送料別)
本体:OKI製/受話器:OKI製/ダイヤル:OKI製/エンブレム:OKI(状態:上)
センターラベル:当時のオリジナルラベル
ベークライトに一部劣化有り
裏面の状態:ゴム足の状態:良
内部の機器類:OKI製/状態:並
以上、4機種のご紹介になります。
それぞれが一長一短あるかと存じますが、それぞれについて主観ではございますがコメントいたしします。
先ず①については「メーカーも別に拘らないし揃ってなくても構わない、綺麗な黒電話を希望」という
方にはお勧めです。写真でもお分かりのように内部の機器類に至るまで綺麗な個体です。
次に②については「やはりメーカーが揃ってる希少な黒電話が良い」という方向けです。
写真の部位に傷はございますが①の個体と同等な綺麗さを保っております。
実際、傷が有るため①と同額の価格設定となっております。
③については電電公社のエンブレムではなく岩崎のメーカーエンブレムであるところがお勧めです。
確かにメーカー不揃い品で受話器コードにも補修跡があるため価格的にもう少し押さえたい
ところなのですが、説明の通り希少な「マツダ」が多用されているため、この価格となります。
ダイヤルとエンブレムを除けば他は全て「マツダ」というところがマニアをそそります。
最後に④のカラー電話機(うすねず)になりますが外装に艶落ちが観られ一部、劣化も見受けられますが
何といってもカラー電話機であること。それにメーカー揃いでセンターラベルも希少な当時のオリジナルで
あるところがお勧めです。
尚、②の岩崎メーカー揃いの電電公社エンブレムを③の岩崎メーカーエンブレムに入れ替えることも可能です。
その場合は②の価格が¥1,000円アップします。
以上が各画像と私なりのコメントになります。
どうぞ、ご検討のほど宜しくお願いいたします。