古物商  showa 土花亭

          効率性や利便性だけで埋め尽くされた今の時代。少しだけ時計の針をゆっくりと進めてみませんか。

ハバナ型涙の滴時計

2020年12月22日 | 時計

最後にご紹介は「ハバナ型涙の滴」。。。正直、3機の内一番手間が掛かった時計。

救出した5機の内、最も状態は悪かったもののやはりそこは「涙の滴」のせいか、何とか蘇らせたかったため

約一月の内、その過半以上の時間と手間を費やすこととなった。

「ハバナ型涙の滴」については色んなタイプが出回り、元祖アンソニアを真似た国産の個体も多く、この時計も例外ではない。

文字盤は何故かスモールセコンド部分を紙で隠された文字盤に全く不似合いな剣。ムーブメントは後年入れ替えられたであろう

精工舎製で唯一、渦リンのみアンソニア製。ケースの底板は後年ベニアを入れられその厚さも箱に合ってなかった。

上宮の擬宝珠は欠品で下宮の飾りは途中で欠損。振り子も無い・・・。

正しく分解というか「解体」作業から始めなければいけない状態。

ムーブメント(精工舎製)はこのまま使うことにし、いつもの洗浄注油、調整を繰り返し施す。

慣らし稼働の時間(日数)を利用し先ずは文字盤の作成から。

どうせなら、ちゃんとした?アンソニアの文字盤にということでCADで作成し作り直す。

そして貼り付け。(文字盤のリング類も洗浄の後、磨き済み)

次に難関の下宮飾りの欠損部の補修?というか継ぎ足し作業。

木目(柾目)を合わすのに苦労した部分。そして、箱の底板も無垢材で作りお直し、上宮飾りの擬宝珠も追加。

そして、何となく「ハバナ型涙の滴」として蘇らせる。

振り子室のガラスの金細工模様はほぼ消えていて、微かに残っている部分も写真では分かり辛い。

ビーナスのお顔も結構、美しい方でこの鉛製の無垢材が洗浄過程でクエン酸と化学反応し金色に輝きだした時には正直、驚いた。

(依って、着色も何も施してない)

下宮飾りについてはやはり限界を感じた部分で、妥協としか言いようがない出来。

振り子は手持ちのもので代替。剣については時計の文字盤が非常に小さいため、短めの剣を更に

切断加工し装着。

この写真撮影の後、文字盤に合う剣が見付かったため今はバランスの良い状態で、こちらも「caffe 月の虹

小上がりにて元気に時を刻み時を知らせている。(剣は交換済)

 

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メーカー不明丸頭大型時計

2020年12月20日 | 時計

2機目はメーカー不明の丸頭。。。振り子室廻りに鎌倉彫の飾りが付き、丸頭部分には彫がない

その分、あっさりとした印象を受ける大型の時計。

振り子室左右の長い直立の擬宝珠は片方欠品。後は後年、張り替えたであろう何故かアンソニアぽい文字盤。

ムーブメントは時打ちの調整棒が存在しなメーカー不明の薄汚れた状態。

御覧のようにスモールセコンドが何故か付いているのですが長さは途中で切断されている。

この時計はいつもの洗浄注油ぐらいで手間が掛からなかった方で、新たに文字盤を張替えたぐらいで、

ちゃんとした時計として蘇ることが出来た。(短針のハート型がなんとも良い)

あえて、振り子室の左右の擬宝珠は装着せずとも、これはこれで良い雰囲気を醸し出す。

只今、caffe 月の虹」にて元気に時を刻み時を知らせている。

 

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バロック調高野時計

2020年12月19日 | 時計

先月の「柱時計の救出」から約一月で、蘇らせることが出来たのは5機の内3機・・・。

その3機について順次、紹介してゆきますが先ずは「高野時計」。

国産には珍しくヨーロッパ調のデザインを有する。個人的にはこの手のデザインは好みではないが

デザイン的にまとまりがありバランスも優れていたため力が入る。

状態は上宮飾りのガタツキに下宮の擬宝珠の欠品、後は扉の下側のアクセント飾りの欠品ぐらいで、文字盤をはじめ

ムーブメント、振り子、渦リンも刻印はないもののオリジナルと思われる。先ずはムーブメントのみ洗浄注油し初動を確認する。

 

それぞれの軸受けのホゾは若干ガタ付はあるものの以前にポンチで絞められた修理痕もあり元気に可動させることが出来た。

可動確認後に一旦、分解の後ケースは塗装もしっかりしていたので洗いにかけ、他の部品も磨きをかける。

 

 

上宮飾りの修復と下宮飾りに手持ちの合いそうな擬宝珠装填。

 

扉の下側のアクセントの飾りはたまたま着いてた飾りの跡が残っていたため、その形で新たに作成。

後はビートスケールが少し剥げていたため補色。

 

文字盤は劣化がみられるもののオリジナルのため、あえてあまり手を加えずにおくことに。

剣のデザインもこの時計に合っていて中々のセンスであると思う。

 

 

国産には珍しいバロック調のデザインではあるが結構、完成されたデザインだと思う。

 

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