伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

建設業法のツボとコツがゼッタイにわかる本[第2版]

2022-11-28 20:46:42 | 実用書・ビジネス書
 建設業法の規制等に関する行政庁への届出等の総務サイドでの対応について解説した本。
 建設業が29の業種ごとに許可があり、経営業務の管理責任者、専任技術者(営業所ごと)、主任技術者・監理技術者(現場ごと)を置く必要があり、さまざまな書類の作成・提出義務があることが具体的に説明されています。施工体制台帳と添付書類(元請業者)、再下請負通知書(下請業者)など、建設業者が作成保存すべき書類(施工体制台帳はその一部は帳簿の添付書類として保存義務があるとのことです:278ページ)に何があり、何が記載されているかを知っておくことは、事件によっては、弁護士業務にも役に立つかもしれません。
 建設業許可の要件の1つに健康保険・厚生年金・雇用保険の法令上の適用事業所のすべてについて加入事業所として届出をしていることが挙げられ(建設業法施行規則第7条第2号)、公共工事の受注に必要な経営事項審査でそれら社会保険への加入状況に加えてワーク・ライフ・バランスに関する取り組みも評価されるというあたり、事業者に法令を遵守させるために行政はいろいろやっているのだなと改めて感心しました。
 細かい項目に分けたQ&A的な解説で、建設業法の規定やガイドライン等を示して(直接の根拠条文が示されないところもあり、ムラがある感はありますが)説明され、どうなっているかやどうすればいいかは読んでわかるようになっています(引用されている条文等は読む気になれないことも多いかと思いますが)。通読するには同じことの繰り返しが多い感じがしますが、それは必要な項目だけ拾い読みするのが普通の利用法だと思われますので仕方ないでしょう。
 丁寧に説明しているのだとは思いますが、例えば主任技術者・監理技術者に求められる資格一覧表というのが201ページと210ページに掲載されているのですが、下図の赤枠の部分は「4000万円以上」の間違い、青枠は分ける必要なく同じというのが、表自体を見てもわかります。

念のために、引用されている原典ではこの本のようにはなっていません。

 また、建設業法違反の指示処分例として「山梨県F社」(株式会社双葉電気)の処分原因を「無許可事業者等との下請契約」としています(332ページ)が、これは記載されている処分の原因を読めば、F社が契約した相手が無許可事業者であったことではなく、F社自身が特定建設業の許可を受けていないのに特定建設業者でないとしてはいけない金額・規模の元請業者としての契約をしたことが処分原因であることがわかります。
 単純なミスなのでしょうけれども、そして分厚い本の端から端までチェックするのは大変なのだとは思いますが、こういうところの雑さというか誤りに気がつかないところを見てしまうと、建設業法の規定について十分に理解されているのか、やや不安を覚えてしまいます。


大野裕次郎、寺嶋紫乃 秀和システム 2022年9月23日発行(初版は2020年6月)
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