SHOじいの独り言

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文系/理系

2012-01-16 14:20:57 | 日記・エッセイ・コラム

 ”便所ゲタ” 中学時代の英語教師のあだ名である。四角い顔の上に、鼻緒そっくりの眉毛があった。この先生のキャラとユニークな授業で英語が好きになり、末は文系の大学に進んで先生になりたいと思っていた。

 しかし、家が貧乏だったので、就職に有利な工業高校に進学した。ところが、そこにユニークな英語の講師が出現、また英語に恋してしまった。名前は ”高橋弦太郎” 水戸黄門の家来、うっかり八兵衛(当時)の役者と一字違いの名で、冗談の塊のような人だった。

 この先生から、奨学金を受けて文系大学への進学を推薦されたが、父親の許しが得られず断念、卒業後は重厚長大系の会社に仕方なく就職した。典型的な理系コースを歩むことになったのである。ちなみに、入社試験の結果が普通科目はトップクラスなのに、専門科目は平均以下で、文系そのものであった。

 入社後は当然のごとく、技術系の職場に配属され、途中何度も「この仕事はおれには向いてないわ」と何度も思いつつ、気が付けば20年が過ぎていた。例えて言うと、体は理系で心は文系のような状態である。その間結婚もし、子供もできたので、そのまま黙々と働くほかなかった。

 それでも、好きな英語の勉強だけは続けていた。そして、それを行かせる輸出部門への転属を狙い、上司に ”海外志向” をアピールしていたが叶わなかった。

 年齢も40歳近くなった頃、週刊STという英語紙の英作文投稿欄になんと ”高橋弦太郎” の名前を見つけたのだ。退職後60歳を超えても、英語の勉強を続けておられることに超超感動し、さっそく旧交を温めた。

 この恩師との再開がもたらしてくれたのか、その後青天の霹靂的にニューヨークへの出張命令が下り、長年の希望が叶うことになる。

 退職した今は ”やはり野に置け蓮華草” のごとく、身も心も文系人間としての生活をエンジョイさせてもらっている。

(文章講座2012.02.18)