形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

イラガ(刺蛾)の笛

2012-11-27 15:18:28 | Weblog

イラガという蛾がいる。 ずっと以前には、東京でもよく見かけたが、
今ではほとんど見ることがなくなった。 たぶん、昔は家々の庭によく
植えられていた柿の木が、ごく少なくなったからではないかと思う。
(サクラやケヤキなどにもつくらしい。)

この蛾の幼虫は、見てのとおり、背中にいくつもの、イガイガした
針のブラシを背負っている。 この針から毒液を出し、刺されると
とても痛い。 別名の一つに、デンキムシ(電気虫)という、
シビレるような名前がついているほどだ。

体長が2センチぐらいの太短い体で、枝の上をモコモコと、
愛嬌のある歩き方で活発に這いまわる。 
いかにも、近づいたら刺すぞ、刺すぞ、というふうに見える。 

痛いから触る子はいなかったが、この毛虫、ころころしてバランスが
悪いのか、上から落ちてくるやつがいる。 坊主頭に落ちられた日には
たまらなかった。 私も落ちてきたのに、頭やランニングシャツから
出ていた首や肩を刺されたことがあった。
子どもの頃の夏、柿の木の近くを通るときは思わず木の上を見た。
たまに田舎のほうでイラガがいる木を見ると、うわーっという気になる。 
刺されたときの、あの痛さが忘れられないのだ。




夏に暴れたイラガの幼虫は、秋になると、写真のような2センチほどの、
シマウマ模様の楕円形の固いカプセルに入ってサナギになる。 
やがて春になると成虫の蛾になる。

よく殻の3分の1ぐらいをきれいに切り取られた抜け殻が、
木の枝に残っている。 子どもたちはそれを見つけると、枝から取り、
握り拳の指のあいだに挟んで、笛のように吹いて遊んだ。


からだの形は、生命の器 
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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