Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§66「影の現象学」 河合隼雄, 1987.

2017-03-11 | Book Reviews
 影ある処、必ず光あり。「オレ様がいないとアンパンマンは活躍できない」と、うそぶくバイキンマン。でも、アンパンマンは決してバイキンマンのとどめを刺さないのは何故でしょうか?

 『影』も自らの無意識に潜むコンプレックスのひとつかもしれません。ただ、そのコンプレックスは自らのまわりに対する劣等感として作用したり、自らの理想像に対する劣等感を克服するように作用すればよいのですが、『影』とはそんな劣等感よりも深い無意識に潜む言葉に出来ないコンプレックスであり、自らが絶対に認めてはならないと意識されるイメージなのかもしれません。

 そんな『影』そのもののイメージがバイキンマンであったり、そんな『影』に自らが支配されないように、そんな『影』を抑制しようとする意識が作用したイメージが、アンパンマンなのかもしれません。

 ひょっとしたら、アンパンマンとバイキンマンは自らに潜む『光』と『影』の暗喩なのかもしれません。光ある処、必ず影あり。だからこそアンパンマンはバイキンマンのとどめを刺せないような気がします。

初稿 2017/03/11
校正 2020/11/20
写真 影ある処、必ず光あり
撮影 2011/05/08(高知・アンパンマンミュージアム)

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