Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§65「猫だましい」 河合隼雄, 2000.

2017-02-19 | Book Reviews
 猫であって、猫にあらず。身近で愛くるしい親近感を持ちながらも、思った通りにならない存在を示唆しているような気がします。

 TV版『ドラえもん』は、のび太の願いを叶えてくれるはずの未来の道具が、いつも思いもよらない展開で、のび太の願いは裏切られてしまいます。言わば、自らの無意識に潜む「コンプレックス」が、自らのまわりに対する自らの劣等感として作用する「おはなし」のような気がします。

 一方で、映画版『ドラえもん』は、みんなの願いを叶えるために自らが勇気をもって挑み、思いもよらない助けによってみんなの願いを叶えてくれます。言わば、自らの無意識に潜む「コンプレックス」が、自らの理想像に対する自らの劣等感を克服するように作用する「おはなし」のような気がします。

 いづれにしても、猫は自らの「コンプレックス」をよい方向にも、そうでない方向にも起動させてしまう「トリックスター」のひとつのような気がします。

初稿 2017/02/19
校正 2020/11/23
写真 通勤路にて見かける猫
撮影 2017/02/18(滋賀・大津)

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