Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§84「潮騒」 三島由紀夫, 1954.

2018-03-21 | Book Reviews
 幾重にも寄せては引くさざ波に彩られたわたつみの神が宿りし島そのものと、古来より享受してきた海の恵みと畏敬の念。

 「潮騒」とは、島で暮らす人々に脈々と受け継がれてきた集合的無意識に潜む元型としての〈影〉がもたらす何も過不足も無く、何の矛盾も無い調和した心理的イメージなのかもしれません。

 登場するキャスティングにも、諸元型がもたらす様々な心理的変化が彩られ、あたかもその海の神の見えざる手により示し会わされたかのような二人の描写には、「自らは誰であるか?」という根源的な問いかけに、「自らは斯く在りたい」と答えるまでも無いような気がします。

初稿 2018/03/21
校正 2020/10/16
写真 潮騒の光景
撮影 2008/07/26(広島・倉橋島)


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