Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§20「菊と刀」 ルース・ベネデイクト, 1948.

2013-10-25 | Book Reviews
 新渡戸稲造の「武士道」は、「義」なるものを歴史や逸話をもとに日本人の行動パターンとして解説しているような気がします。

 一方で、「菊と刀」は、「義」なるものを日本人の行動原理として仮定して検証しているような気がします。

 「義」なるものとは、自らが受けた「恩」に報いることであり、考えるまでもなく集団心理として抗うことなく行動せざるを得ないもの。

 そして、それは自らが受けた「恩」に等しいだけの数量を返済する「義理」とどんなに努力しても決してその「恩」のすべてを返済することができない「義務」とに分けることができると言います。

 つまり、「義理」とは、言われたことだけ果たすことが目的。言わば、おうむ返し。一方、「義務」とは言われたことだけでなく、自らが成すべきことを考え、果たすことであるのならば、受けた恩以上に相手に尽くすことが目的。言わば、倍返し、百倍返し。

 ひょっとしたら、「恩」とは「ありがとう」のたった一言なのかも知れません。感謝する気持ちが伝われば、ひとは自ずと奮い起ち、自らで成すべきことを考え、果たしてくれるはず。

 もらうより与えよ、そうすればひとは必ず動くはず。もしかしたら、それが行動原理なのかも知れません。

初稿 2013/10/25
校正 2021/02/19
写真 日本で三番目に古い装飾用噴水, 1905.
撮影 2013/04/25(東京・日比谷公園)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿