Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§64「おはなしの知恵」 河合隼雄, 2003.

2017-02-09 | Book Reviews
 やりがいを見出せるほどの自由な発想の源とは如何なるものか?自らの知識や経験に基づいて人や物の関係性を連想することだけでは充分じゃないことを示唆しているような気がします。

 昔ばなしや神話等に語り継がれる「おはなし」は、全てが必ずしも納得できるわけではありませんが、なぜかしら記憶や印象に残っていることがあります。

 そんな「おはなし」を、大人になって読み返してみると、一部は教訓として理解できるものの、その想定しづらい条件の特異性だったり、話の展開の多様性に惹かれるような気がします。

 そうかもしれない、そうあってほしいこと。そうあってほしいのに、そうはならないこと。そうあってほしくないのに、そうなってしまうこと。大人になればなるほど、結果には必ず原因が存在するという因果性に支配されてしまいそうになりがち。

 普遍的ではないとはいえ、時代や場所を問わず、多くの人の記憶や印象に残っているそんな「おはなし」には、やりがいを見出せるほどの自由な発想の源が潜んでいるのかもしれません。
   
初稿 2017/02/09
校正 2020/11/24
写真 無意識に印象が残るものとは
「踊り子」フェルナンド・ボテロ 作
撮影 2016/05/23(大阪・御堂筋彫刻ストリート)
コメント
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