Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

∫19「余部鉄橋」 兵庫, 1912.

2014-02-16 | Architecture
 11基の橋脚、23連の橋桁が織り成す高さ約40m、長さ約300mの光景は、あたかも銀河鉄道を連想させてくれるスケールです。

 三方を山に囲まれ、一方は海岸から季節風や吹雪が吹き付ける厳しい環境に聳え立つ橋脚と橋桁が纏う朱色は、水分や塩分の侵入を防ぎ鋼材を腐食させない塗装だそうです。

 延べ約25万人、約3年の歳月をかけて築き上げたことは偉業ですが、わずか5人の「橋守」が約50年間にわたり護り続けたことも偉業だと思います。

 塗膜の異状を早期発見し、工具で取り除いた上で塗装をやり直す。劣化した部品は交換する。その繰返しの結果、約100年の間に建設当初からの部品が残されているのは橋桁と橋脚の主塔のみだそうです。

 変わらずに存在し続けることは、常に変わり続ける必要があるということなのかもしれません。

初稿 2014/02/16
校正 2021/02/07
写真「余部鉄橋」古川晴一, 1912.
撮影 2007/05/03(兵庫・但馬)
余話 2010年に架け替えられ、現在は橋脚の一部が遺されています。

コメント
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