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気ままなひとこと

折々にふれ、思いつくままに、気ままに書き留めるBLOG

「男性論 ECCE HOMO」(ヤマザキマリ著)を楽しみました。

2014-01-29 14:50:39 | 読書
漫画「テルマエ・ロマエ」は読んでないのですが、映画版を見て以来、興味を持った作家(漫画家?)の人物論、しかも長くイタリアに居住している著者だけに当然、イタリアの話題も多いだろうし、ということで、期待して手に取りました。

期待通りに満足のいくものでした!
寛容性、ダイナミズム、増長性を特徴とする古代ローマの代表として大好きだというハドリアヌス帝は、塩野七生の「ローマ人の物語」での記述とはひと味違ってこなれた(柔らかい?)印象なっているのが面白い。
中世にあってルネッサンスを先取りした人物として紹介されていたフェデリーコ2世にも興味が惹かれました。これまでの書物ではフリードリッヒ2世と書かれているものが多く、ドイツ系とのイメージでしたが、シチリアで育った教養あふれる国際人だとか。ボーダーレス、リベラルの教育重視派で、ナポリ大学を創設した・・・興味が湧いてきました。

男性論ばかりでなく、“成熟したいい女とは”と題して女性論があるのも面白かったです。
成熟による美が日本では軽んじられている。日本女性は男性の視線を意識するあまり、成熟することを恐れている!アンチエイジング、美魔女なんて可笑しい・・・年をとらないと表れてこない美しさ・成熟の美(=時間との調和)に気付かずに若作りするとは調和を崩す、等々、痛快です。須賀敦子をいい女のお手本にあげているのもファンとして嬉しいことです。

ほかにイタリアと日本を対比させた比較文化論も大変興味深いものがあります。
言葉に出して伝える文化と、あうんの呼吸・空気を読む文化の違い、成る程・・・イタリア留学中の友人から伝え聞くはなしと合致。イタリアは他国との侵略戦争の応酬の歴史から、対外的なコミュニケーション、交渉術を身につけて来たのに対し、日本は植民地化された経験がなく、中国文化、黒船による産業化、戦後のアメリカ文明化と、外から来るものは“良きもの”という体験から対外的なコミュニケーションの発達がなかったとか。ふん、ふん・・・

著者の家族内でのコミュニケーションを含めて、イタリア好きの小生にはとても楽しく読んだ本でした。この中で紹介されていたフェデリーコについては、丁度同じ時期に塩野七生の「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」が刊行されているので、早速アマゾンで入手しました。

塩野七生モノにしては、上下2巻で完結しているのが有難い。彼女が「ローマ人の物語」を書く前から、いつかは書いてみたい人物としてフリードリッヒ二世を思い続けていたとか。「ローマ人の物語」以来、塩野七生の久し振りの歴史もの、胸が弾みます。

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