気ままなひとこと

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「みをつくし料理帖」完結編に向けて

2014-07-13 16:16:25 | 読書
シリーズの開始直後に、偶然に(!)出会ってしまい、以来5年、すっかりはまってしまっている人情・料理時代小説ですが、今年の2月に出た第9作の終わりに、次回(第10作)でもって完結と予告されてしまいました。5年前にどんなきっかけでこの本を手に取ったのかも記憶がないのが残念ですが、この5年間、新作の広告を新聞で見ると、直ぐに本屋で購入、夢中になって9作まで楽しんできました。完結編となる第10作は8月出版予定なので、その前に第1作「八朔の雪」から第9作「美雪晴れ」までを、一ヶ月かけて続けて読み直してみました。



大まかなストーリーは覚えていても、細部にわたっては忘れていることが多く、新鮮に、楽しく読むことが出来ました。毎回3つから4つの短編の連作集なのですが、続けて9冊を読むと、主人公の成長、登場人物たちの優しさが一層身近に感じられるようでした。苦界にある野江と澪が、現在の立場(太夫と料理人)という壁をまとって向かい合う第8作の終わりは、緊迫感と同時に、相手を思いやる二人の優しさがひっそりと伝わってくる、読み応えのあるいい場面でした。
第9作の終わりでは、高級料亭の贅を尽くした料理か、市井の人々の身体と懐に優しい料理か、目指す道を決めかねていた澪が、とうとう道を見つける場面があります。「食は人の天なり・・・食べる人の心も身体も健やかにする料理をこそ、作り続けていきたい。」目指す道に気付くと同時に、そこに寄り添ってくれる源斎医師の優しさが完結編での二人が結ばれることを予測させるような(?)

惜しむらくは、昨年、今年と、スペシャル番組としてTV版が作られたのが影響して、小説を読む中でTV出演者の顔が浮かんだりすることです。小説の中でのイメージと一致するのは原田美枝子のご寮さんだけで、他は私が小説から受けるイメージから外れているので、必死で振り払って文字の世界に没頭する努力が必要でした(苦笑)。小説の中では、澪は下がり眉が特徴なので蒼井優かな、野江は未だ思いつかない。TV番組の二人の女優を逆にしてもいいかも。文字から想像する世界と、TVで見る世界を一致させることは至難の技ですね。

とにもかくにも来月には完結編が出てくるようですが、今から楽しみな一方で、それで終わりだと思うと遅れて欲しいような、これがファンの心理というものなのかもしれませんね。多分、発行即購入して、即読んでしまうことになるでしょうが(苦笑)。作者の高田郁という名前はそれまで全く知らなかったのですが、素敵な世界に導いてくれました。サイン会でもあったら馳せ参じたいと思っているのですが、そんな機会があるかな・・・。

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