夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
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友達が一杯

2015-06-09 | 創作
友達の話です。
友達が残業を終えて自分のアパートに帰る途中に、女の人が倒れていたそうです。
酔っぱらって意識が無くなったような感じで、横になっていたそうです。
「大丈夫ですか」と声をかけると「はい、大丈夫です」と答えるのですがグッタリしたままだというのです。
女の人を介抱しようと抱きかかえたとき、背中にズッシリと重さを感じたのだそうです。
背中に誰かがおぶさってきたような、突然、背中に感じた重さでこらえきれずに顔から倒れ込んでしまったのです。
背中の重さは益々重くなってビクリとも動けなかったと言います。
そのうち意識が遠のくように気持ちが良くなってきて、暗い闇の中に吸い込まれてしまったそうです。
意識が戻ったとき、自分のアパートに寝ていて、びっくりしたと言うのです。
「その日から、ちょっと変なんだよ」
「変って」
「知らない友達というか、知っているのだろうけど、急に友達が増えたんだよ」
「友達が増えたの」と思わず聞いてしまいました。
「うん、高校の時の友達だと思うのだけど、訪ねてくるのだよ」
「本当に友達なのか」
「だと思う。最初に逢ったときは誰こいつ、と思うのに話している内に次々とそう言えばそんな事したよなって感じになって思い出すのだよ」と言うのです。
そのうち、良く来る女友達と同棲するようになったというのです。
「その、なんだ、同棲するようになった女というのが、あの夜に倒れていた女の様な気がするのだけど、まぁ、いいか」と笑って言うのです。
友達が良いというのでしたら、金魚がとやかく言う必要はないのですから。
友達の横で女がニコニコ笑っていたり、背中には何人もの男や女の顔があったとしても、本人が良いというのでしたら、何も言う事はありません。
金魚だって、あんなに大勢の霊を背負っている人は初めて見たのですから。
どうして良いか、分かりませんでした。
昔の友達が、急に訪ねてくるようになった人は気をつけてください。
訪ねてきた人が生きているのか、確かめた方がよいかも。

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