夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
ネタ控えです

300文字小説 雨男・雨女

2012-06-30 | 創作
 貴方は私を雨女と言うけど、本当は貴方が雨男なのに。  いつも傘もって無くて、迎えに行きましたね。 「来るのがよく分かったね」  貴方は、私がいつも雨が降ったら迎えに来ていたの知らないでしょう。  傘さしかけると、背を丸めて「天井低いって」言いましたね。  傘が小さくていつも貴方の肩が濡れました。  ガラス窓に水滴がついて、通りに傘の花が咲きます。  もしかしたら私を待っているのではないかと、傘を . . . 本文を読む
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300文字小説 スポットライト

2012-06-29 | 創作
 劇団のポスターに二人の名前を書きましたね。  主役は貴方で私は脇役。  月明かりの下、二人で台本読みましたね。  代役が回ってきても良いように、二人で遅くまで稽古しましたね。  あの時、私は人生のスポットライトを浴びていたの。  その他大勢の脇役として貴方の側にいられるだけで私は幸せ。  なのに貴方は遠いところへ。  貴方の代役なんていないのよ。  今も貴方は、私のスポットライトの中心にいます。 . . . 本文を読む
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300文字小説 玄関の明かり

2012-06-28 | 創作
寝静まった夜道に、玄関の明かりがともっていると、あの家では帰っていない誰かを待っている人がいるんだなって思います。  でも待たせている人は、玄関に灯りがともっているのがいつもの事だから、きっと気づいていないのでしょうね。  でも、たとえ気づいて貰えなくても、貴方を待ってますと教えたいから明かり点けて待ってます。  「ちょっと遅くなるから、先に寝てていいよ」  待ってる人がいる事を知っている貴方。 . . . 本文を読む
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300文字小説 花束

2012-06-27 | 創作
「花、買ったから花瓶用意しておいて」って連絡がはいったら大変。  バケツで何杯も買ってきて、家中お花だらけ。 「赤いバラが好き」ってうっかり言った翌日には、軽トラック一杯の花。  グランデアモーレ・ガルテンツァーバァ'84・アレックスレッドとか私も知らない花が一杯。  「お宅、何屋さんですか」ってお花屋さんに聞かれたけど、笑うしかないでしょ。  お風呂場の中までバラの花で埋まってしまいました。   . . . 本文を読む
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300文字小説 ゴジラ

2012-06-26 | 創作
 貴方の好きな物はゴジラ。  電池で動くゴジラ見て、凄いだろうって言われても。  ゴジラの鳴き声は、コントラバスのアルコ・スル・ポンティチェロという軋んだ奏法の音を録音して逆回転させたとか。  広辞苑に載っているただ一つの怪獣の名前だとか。  最初は50メートルだったのが、高層ビルの出現によって80メール・100メートルになったなんて知らないです。  でも、私もゴジラ好きになりますから。  一緒に . . . 本文を読む
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300文字小説 オムライス

2012-06-25 | 創作
 彼の好きなオムライス。  バターを熱して卵を入れて、強火で箸を使って素早くかき混ぜる。  余熱を使って火を通して、トロトロになったらケチャップご飯の上に。  ケチャップご飯は水をしっかり飛ばして、ハーブとバシルとオレガノを入れると風味抜群。  食べる直前にナイフを入れれば、トローリ半熟卵が流れ出ます。  貴方が好きだと言ったから、今日はオムライス記念日。  花を飾って、化粧して貴方の帰りを待って . . . 本文を読む
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300文字小説  ノック

2012-06-24 | 創作
 暗くて冷たい部屋。  一人帰ってつくため息。  遠くから、こちらに来る足音。  聞き覚えのある彼の足音に似てるけど。 「必ず迎えにくるから」と言って、何年になるの。  ドアをノックするのは何。  風のイタズラなら止めて、彼のノックに似ているから。  ドアスコープを覗くと彼。  花束もって立っている。  遅いわよ。  頬を伝わる熱いものが止まるまで、このまま此処にいさせて。  ドアを開けた . . . 本文を読む
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300文字小説 風無き部屋の風鈴

2012-06-23 | 創作
懐かしい部屋に戻ってくると、軒下に風鈴がまだありました。  「風なんか入ってこないのに」と言っても、「気持ちだけでも涼しくなるから」と言って、縁日で風鈴を買いました。  ふっと息を吹きかけるとチリーンと澄み切った音がしました。  「なっ、音だけでも涼しいだろ」って子供みたいに喜んで。  明日のお米も心配する生活でしたけど、笑い声で満ちてました。  ある日突然、貴方はいなくなって私は独りぼっち。 . . . 本文を読む
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大場松魚氏 逝去

2012-06-22 | 日記
                                         平文輪彩箱 大場松魚氏が亡くなりました。 今は地元でも有名人ですし、評価されるのですが昔は人間国宝になってもあまり評価されなかったようです。 室生犀星が、ふるさとは遠くにありと思うものと唱ったのも地元での待遇があまり良くなかったからだと思います。 実 . . . 本文を読む
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300文字小説  夏、あいつがやってくる。

2012-06-21 | 創作
 自衛隊の装備が払い下げられている事を知っているでしょうか。  耐用年数が過ぎたトラックとかジープはもちろん戦車も買えるのです。  私の村は山奥に有るのですが、道も悪いので戦車を買う人が多いです。  もちろん大砲や機関銃といった装備は外してありますが、それでも鉄の塊が動くのは凄いです。 「すげえな、これが最新鋭の10式戦車か」 「ああ、長さ9.5、幅3.3メートル、重さ44トン、なんと言っても時速 . . . 本文を読む
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