夕焼け金魚 

不思議な話
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窓の下にある顔

2015-11-11 | 創作
先輩から聞いた話なのです。
残業して窓から隣のビルを何気なく見たら、同じように隣のビルの窓に立っている人がいたそうです。
じっくり見たわけじゃないのですが、何となく自分と同じような服装だったような気がしたそうです。
残業も終わって、帰ろうかと思って隣のビルを見るとやっばり自分と同じような人が立っていて、あの人も仕事が終わったんだなと思ってみていると、ゆっくり窓を開けてこちらをチラリと見たと言うのです。
なぜかハッキリと顔が見えて「あなた、見えてますね」と聞こえたというのです。
隣のビルは大通りを挟んで建っていますから少なくとも15メートルは離れていたといいます。
大声で話せば聞こえるかも知れませんが、呟くような声だったというのです。
聞こえるはずがない声が聞こえたと思ったら、背筋がゾッとしたそうです。
ビックリして外を見ていると向かい側の人は窓を開けて、頭を下にして外に飛び降りたというのです。
黒い影がスーッと下に落ちていって、先輩がビックリして窓を開けて下を見ようとしたら、窓の下に顔があったそうです。





「やっぱり、見えていたのですね」と言って先輩に向かって手を伸ばしてきたというのです。
驚いて窓から離れたのだそうですが、その時には窓には誰もと言うか、何もなかったと言います。
「金魚なら分かるだろう、あの時の驚きというか怖さ」と笑って言うのです。
「ええ、突然、窓の下に顔とかあるとビックリしますから」と答えました。
それ以外に言い方がないでしょう。
暫くして先輩がビルから落ちて亡くなりました。
残業していて窓を開けたと思ったら、あっという間に頭から落ちたそうです。
まるで窓の外から引っ張られたかのように、頭を下にしてすべり落ちてしまったそうです。


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1 コメント

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怖っ (おりかな)
2015-11-11 05:00:50
タイトルだけ見て怖い話かな
と思って読んだら
ほんとに怖い話だった
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