夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
ネタ控えです

言うは勘兵衛 9

2013-06-28 | 創作
勘兵衛は加賀を出奔すると京に住み着いた。 京は諸国の大名が参集し勘兵衛も加賀の三鑓と言われた自分であれば、容易に仕官ができると思っていた。 京に住み着いた頃は、何人かは出仕の話を持ってきたが、前田家から奉公構えが出ていると知ると、いつの間にか脚が遠のいていった。  出奔時持ってきた蓄えも心細くなってきて、毎日の食事の品が少しずつ減ってきていた。 富の使う化粧もなくなり、色黒く見えるようになっていた . . . 本文を読む
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言うは勘兵衛 8

2013-06-26 | 創作
翌日、金沢城の大広間で末森のいくさでの恩賞の発表が行われた。 家老、横山大膳がうやうやしく、当主利家から書状を受け取り発表する。 「一番手柄、末森城主奥村助右衛門殿」 「後詰め、一番手柄、篠原一孝殿」 「二番手柄、由比勘兵衛光清殿」  この時、広間から待ったがかかった。  功労の場で異議を唱えるは法度に反する行為であった。 「それがし、佐々方の侍大将佐々余左衛門を討ち取ったが、篠原殿はいかなる効が . . . 本文を読む
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言うは勘兵衛 7

2013-06-24 | 創作
富の実家、阿岸家は金沢の町外れ長柄町にあった。 もと鑓衆であったが、先代が亡くなったときに他家より貰った養子が、弓衆頭であったが、そのまま長柄町に住んでいた。 勘兵衛は、先に杢兵衛を富の実家に走らせて、急の訪問を伝えていた。 深夜とはいえ、急の知らせに玄関・庭先に灯をともしての出迎えであった。  正面に祖母の“たつ”が座り、その横に母の“さと”が座って、脇に廻ってさとの婿養子の“勇三郎”が座った。 . . . 本文を読む
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言うは勘兵衛 6

2013-06-21 | 創作
 富の形相が一変した。 昔、人を殺してきた母親の顔を模写して作られたという般若の形相も、この時の富の形相には負けると思われるほどの形相に一変した。 「いや、実は、よんどころない事情により、そのなんだ」  余りの富の形相に勘兵衛は、思わず口ごもってしまった。 「女でござりますか。どこの女でござりますか。私に向かっての仕打ちは、実家、小杉家に対する仕打ち。姉・妹に相談の上、御台所いくさは望むところ」 . . . 本文を読む
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言うは勘兵衛 5

2013-06-19 | 創作
 勘兵衛が金沢に帰ってきたのは、その日の夕刻であった。 勝ちいくさとはいえ、何人もの死者がでるのが、いくさであった。 夕闇の中に時間が止まったかのようにひっそりとした家がどの街にも、一軒はあった。 見慣れた町並みに入ったとき、赤々と篝火が焚かれていながら、沈痛な空気に包まれている家を見て、勘兵衛は、ハッとした。 山下文左衛門勝紀。 勘兵衛の同輩であった。いくさ支度のまま勘兵衛は山下家の敷居を跨いだ . . . 本文を読む
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言うは勘兵衛 4

2013-06-17 | 創作
佐々成政は平井山に本陣を構え、前田方は末森城を背にして対峙するような形で陣形を整えていた。 勘兵衛達は、佐々余左衛門を討ち取った証拠の品々を携えて、前田の陣に帰ってきた。 「どうじゃ、佐々は仕掛けてくるかのう」 「なんの、佐々にそれだけの力は残っていまい。昨日からの一戦であっちも疲れておるはずじゃ、いいとこあと1刻程で引き上げるのではないか」  勘兵衛の見方が正しかったことが、まもなく佐々の三階傘 . . . 本文を読む
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ザ・ピーナッツ 伊藤エミさんの命日

2013-06-15 | 日記
本日6月15日はザ・ピーナッツの伊藤エミさんの命日です。 金魚は大好きでした。 今日は朝からザ・ピーナッツの歌を聴いて泣く予定です。 高校中退後、主に名古屋市内などで「伊藤シスターズ」名義で歌っていたが、1958年に同市内のレストランにて渡辺プロダクション社長の渡邊晋にスカウトされ上京。宮川泰に師事した。 1959年2月11日、「第2回 日劇コーラスパレード」で歌手デビュー、同年4月、「可愛い花 . . . 本文を読む
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言うは勘兵衛 3

2013-06-13 | 創作
「勘兵衛見参」 鑓を脇に抱えて、勘兵衛は声を枯らして吠えた。 「おうよ、勘兵衛待ちかねた」 勘兵衛に答える武将がいた。 第二陣の大将佐々余左衛門であった。 余左衛門と勘兵衛は、鑓の腕前で議論したことがあった。 「鑓は叩くものでござろう。甲の上から叩きつけて動けなくしてしまえば、それで勝ちでござる」 余左衛門は、鑓の柄で相手を叩き伏せ、最後に突き殺す方が、鑓の使い方として本技であるというのであった。 . . . 本文を読む
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DJポリスに警視総監賞 

2013-06-12 | 日記
DJポリスに警視総監賞。 警視総監賞って警察で一番権威のある賞ですよね。 警察官って殉職もある職務なのに、安全なところでDJしただけで貰える賞なのだ。 警察職務のために殉職した人と同じ評価って、殉職した人の遺族はどう思っているのでしょうかね。 安全なところで、DJして貰える賞なら精々警察署長賞くらいですよ。 国民名誉賞もあんな人にあげた賞ならいらないって噂もありましたよね。 少なくとも殉職した . . . 本文を読む
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言うは勘兵衛 2

2013-06-11 | 創作
 午前6時頃、ほのぼのと東の海が輝いてきた。日の出と共に敵に突っ込む手筈が整えられていた。 先発の前田方の武士達は、既に闇に紛れて敵陣近くに潜伏していた。 末森城に向かって、佐々方は左翼から本庄市兵衛・寺嶋牛之介・勘助親子そして、中央に先駆け本陣の山下甚八・佐々平左衛門の陣があった。 これに対して、利家陣は先鋒に不破彦三、村井又兵衛を配して、第二陣以下に前田又次郎・青山与三・前田慶二郎以下がいた。 . . . 本文を読む
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