日韓英国際共同制作 ONE DAY, MAYBE いつか、きっと
英国の劇団「ドリームシンクスピーク」の芸術監督、トリスタン・シャープスの原案・演出によるサイト・リスポンシブ・パフォーマンス(場の特性を活かした観客参加型・体験型作品)である。
1980年に韓国の光州で起こった民主化運動に着想を得ながら、史実を通じて今現在の世界を探索しようとする試みだ。
観客とパフォーマーが辿る行程は、映像や風景 . . . 本文を読む
子供の頃、変なものが怖かった。白と黒のパトカーがなぜか怖かった。
それも駐車場とかに止まっているのが無性に怖くて、見ないようにして走って逃げた。
べつに警察の車だという事で怖いわけでなく、あの白と黒の模様が怖かった。
その他にチンドン屋が怖かった。チンチンドンドンと音を鳴らして、軽くステップをして歩いてくると物陰に隠れて覗き見てしまう。覗き見るのは怖い物見たさの感覚。
手甲脚絆に草鞋履きで三度笠や . . . 本文を読む
ひとりもんの頃、ご飯は小さなちゃぶ台に茶碗や皿を並べていた。
当然の事ながら茶碗はひとつで、おかずも大皿にごちゃ混ぜに載せるというやんちゃな物でした。
煮物と漬け物を一緒の大皿に載せて、汁が混ざってへんちょこな味になるのですが、味よりも後かたづけの皿洗いの数を減らす意識の方が強かったのです。
その日はおかずに鰯の塩焼きをしようとして、金網の上にのせて焼いていたのです。
片面が焼けたのでひっくり返そ . . . 本文を読む
子供のくせに柄にもなく、シトシト降る雨が好きだった。
夏は雨が降り出すと縁側に出て、庭に落ちてくる雨粒が土に当たって割れるのを見ながら、微かに漂ってくる土の臭いを嗅いでいたのでした。
秋口の雨は枯れ葉に当たる音を部屋の中から聞いていたのです。子供のくせに風流を気取っていたのでした。
それも雨の降り始めぐらいで、本降りになると風情を感じない変な子供だったりして。
でもそれは半分言い訳でもありました。 . . . 本文を読む
繁華街の裏町。迷路のような道の奥にその酒場はあった。そこには、いつも縞模様の服を着た須磨子という女がいた。
須磨子は大抵酔っぱらっていて、おそらく常連客の顔も覚えていないのではないかと思う。
カウンターの中には中年のバーテンがいるが、二人の仲がおかしいという噂もない関係。
そろそろ夜が明けようかという頃には、店の真ん中のテーブルに俯っ伏してピクリともしない。
酒場の須磨子は、本当は島子というらしい . . . 本文を読む
停電といっても最近は滅多に無いのですが、昔は多かったのです。
雷が鳴ったといい、風が吹いたといって電気が止まったものです。
街単位で電気がこないので、周り中真っ暗なのですが、系統が違う隣街は明るかったりするのです。
でもあの街中真っ暗というのも、何か楽しいものでした。
いつもは明るいネオンサインのある繁華街も、停電になると真っ暗。
突然暗くなるので、歩いている女の人が「キャー」とか小さく悲鳴を上げ . . . 本文を読む
トイレといってもかなり以前の板張り扉に、セメントの仕切り板がズラァーと並んでいる学校や駅の共同便所。
あのズラァーと並んでいるトイレに、ある種の恐れと郷愁を覚えるのです。
運動会などでみんなが使っているときは少しも感じない恐怖を、一人で使っていると感じるのです。
目にくる臭いといい、常に足もとの湿り具合といい、非衛生的と言えば非衛生的なのですが、あの同じものがズラァーと並んでいることに、つい緊張し . . . 本文を読む
金沢21世紀美術館 柿沼康二 書の道 “ぱーっ”展
ドラマやCM、映画の題字を数多く手掛け、勢いに乗る書家アーティスト・柿沼康二。
書とは何かを常に問い続けながら、伝統的な技術と前衛的な精神による独自のスタイルを築き上げている。
本展では、古典的な臨書に始まり、絵画的な超大型の作品群やインスタレーションなど、代表作約700点を紹介する。
開催日◆2013年11月23日(土)~2014年3月2日 . . . 本文を読む
最近は見かけなくなったのですけど、小さい頃には野良犬という街のペットがいたものです。
誰に飼われているわけじゃないのですが、何時頃にどこ行けばエサがあたるかということを知っているようです。
私が勝手にシロと名付けた犬も、3時頃になるとまるで私の家の飼い犬のように玄関先にうずくまっているのです。
そうすると近くの女学校から帰る生徒がなぜか「可愛い」とか言って給食の余り物とかを与えるのです。
小汚い犬 . . . 本文を読む
近所に酒浸りの夫婦がいるという噂がありました。
もとは二人で大衆酒場をしていたのだけど、お客が飲むよりも二人が飲む方が多いとか言われて、いつの間にか酒場は止めていました。それでも二人揃って飲んでばかりいて、子供作る暇もないと言われて。
噂が本当かどうかは私は知らなかったのですけど、近所なので回覧板とか持っていったとき、おばさんが一人でいて、一升瓶を傍らに置いて飲んでいました。
「坊や、ありがとうね . . . 本文を読む