夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
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ブォーッとゾウ鳴きの電車にて

2013-10-12 | 創作
ブォーッとゾウ鳴きする電車。
私が勝手に付けたのですけど、田圃の中をトコトコ走るのんびりした電車なのです。
学校帰りのこの時間、電車には私とあの人だけ。
この電車は日の光を浴びてのんびり田圃の中をトコトコ走るのが似合っている。
時々、アクビをするようにのんびり、ブォーってゾウ鳴きして走るの。
ポカポカの陽差しを受けて、田圃に挟まれて走る電車の中でゆっくり本を読むのが好き。あの人もいつも本を読んでいる。何を読んでいるのだろうか。ブックカバーは黄色い水玉。時々、目を休めるように顔を上げて田圃の景色を見る顔が好き。
眼鏡をかけて、ちょっと長めの髪が電車の風になびくのが素敵。
先輩だろうか、もしかしたら後輩。私の方が年上だったらどうしよう。
いつも同じ電車で、私の降りる駅より一つ手前の駅で降りる人。
私も降りてみたいのだけど、二人っきりの電車から同時に降りるのを見られたら、見た人はどう思うだろう。
高校生なのにとか言われないだろうか。それより、あの人がどう思うのだろう。
今日は黒い雲が電車を追いかけてきている。一緒に降りて、雨が降ってきたらどうしよう。
雨に打たれてびしょ濡れの私を見て、あの人が声をかけてきたらどうしよう。
「僕の家、そこなのだけど雨宿りしていかないか」なんて誘われたらどうしよう。
雨に濡れた制服はどうするの、そんな事まで想像してないのだけど、どうしよう。
ブォーッとゾウが鳴いて、駅に入ってゆっくり、ゆっくり電車が止まる。
電車の速度に反比例して、私の鼓動が早くなる。
「今日こそ一緒に降りるのよ」と羽のある人が私の背中を押す。
電車が止まる。あの人が立ち上がる。私の前を通って、あの人が出口に向かう。
私も立ち上がって、後ろについて行く。
ドアが開き、あの人が降りる。私もあの人について降りようとしたとき、ホームに制服の女が立っていた。
雨が降り始めたのだろうか、傘を差していた。
あの人、電車から降りたら真っ直ぐに傘の中に入っていった。
閉まるドアに遮られて、私は電車の中。走り出す電車の窓から、二人を見ていた。
一つの傘に二人で入っている二人を残して、電車が走る。
ブァーッとゾウ鳴きの電車が走る。
トコトコと田圃の中を、アクビをするように走るゾウ鳴きの電車。
真っ黒な雲に覆われて、激しく雨が窓を叩いている。
今日だけは、今だけは、雨の中を泣きながら走るゾウ鳴きの電車。
私の心も雨模様。


追伸 偶然見たブログのゾウ鳴きする電車からイメージして書いた作品です。
   どこのブログだったか分からなくなって。
   コメント入れたはずですから、もし気づいたら貴方のブログからのイメージ作品です。
   気に入らなくてもご免なさい。
   でも、やっぱり雨降りになっちゃうな。 

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1 コメント

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象鳴き電車☆♪ (真鹿子)
2013-10-12 07:18:29

夕焼け金魚さん~~

おはようございます♪

象鳴き電車の

真鹿子ですよ~(^^ゞ

象鳴き電車

素晴らしい掌編小説になりましたね

もう感動~!!!!!!!☆♪

失恋雨模様の象鳴き君も素晴らしい☆♪

夕焼け金魚さん

ほんとにありがとうございます

これからもよろしくお願いいたします

あんまりお馬鹿だから

お馬さんにまで

まんまと逃げられてしまったほうの

真鹿子ですよ(^^ゞ

忘れないでね^^;

感謝です∞☆♪

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