近所のオバチャンの家に、太めの愛嬌のある猫がいました。
いつも陽当たりの良い塀の上にいて、目を細めて寝ているのが日課の猫でした。
オバァチャンが呼ぶと、ミャーと鳴いてトコトコと歩いてオバァチャンの処に行って膝の上で丸くなって目を閉じるのです。
そんなオバァチャンの家に、息子夫婦が同居するようになりました。
息子夫婦には生まれたばかりの子供がいて、オバァチャンは孫の世話で大変忙しくなりました。
そうするとオバァチャンは猫の世話も怠りがちになって、猫のエサもペットフードばかりになってしまったのでした。
たまにオバァチャンが猫を呼んでも猫も寄って行かなくなって、ある日気付くと猫がいなくなっていたというのです。
寂しくて猫が家出したと近所でも噂になったのです。
そのうち、お孫さんが毎晩のように熱を出すようになったのです。
お医者様に診て頂いても、こんなに毎晩のように高熱が出る原因が分からないのです。
夜遅くなると高熱が出て、赤ちゃんの顔が真っ赤になるほど熱が出て、オバァチャンが一生懸命手拭いを冷やして孫の看病をしていたのですが、毎晩のことなのでオバァチャンもウトウトとしたそうです。
ハッと気づくと赤ちゃんが静かなのです。
どうしたのかなと思って赤ちゃんを見ると、なんと大きな鼠が赤ちゃんの顔に乗っていたそうです。
びっくりしてバアチャンが手で追い払うと、鼠がピョンと跳んで宙に浮いてバアチャンを睨み付けたというのです。
鼠は大きな口を開けて威嚇してきて、前歯が牙のように尖っていたそうです。
その鼠がバアチャン目がけて飛び掛かってきた時、横から黒い物が鼠にぶつかって、畳の上に転がったそうです。
あの家出した太めの猫が、化け鼠を両手の爪でしっかり押さえて、鼠の首辺りに噛みついていたのです。
化け鼠は手足を二度三度振るわせると動かなくなり、みるみる小さくなって最後には消えてしまいました。
「ありゃ、お前が助けてくれたのかいな」と言ってバアチャンが猫を抱き上げようとしたら、手が猫を素通りしたと言います。
猫はバアチャンの手を二度ばかり舌で舐めた後、スーッと消えていったと言います。
その日以後、赤ちゃんはもう熱を出さなくなりました。
でもやっぱりあの猫は、何処を捜しても見つからなかったのです。
猫も意外と恩を覚えているようです。
きっと眠たそうな目をしてどこかの塀の上で寝ながら、バァチャン家を守っているのではないかと思います。
いつも陽当たりの良い塀の上にいて、目を細めて寝ているのが日課の猫でした。
オバァチャンが呼ぶと、ミャーと鳴いてトコトコと歩いてオバァチャンの処に行って膝の上で丸くなって目を閉じるのです。
そんなオバァチャンの家に、息子夫婦が同居するようになりました。
息子夫婦には生まれたばかりの子供がいて、オバァチャンは孫の世話で大変忙しくなりました。
そうするとオバァチャンは猫の世話も怠りがちになって、猫のエサもペットフードばかりになってしまったのでした。
たまにオバァチャンが猫を呼んでも猫も寄って行かなくなって、ある日気付くと猫がいなくなっていたというのです。
寂しくて猫が家出したと近所でも噂になったのです。
そのうち、お孫さんが毎晩のように熱を出すようになったのです。
お医者様に診て頂いても、こんなに毎晩のように高熱が出る原因が分からないのです。
夜遅くなると高熱が出て、赤ちゃんの顔が真っ赤になるほど熱が出て、オバァチャンが一生懸命手拭いを冷やして孫の看病をしていたのですが、毎晩のことなのでオバァチャンもウトウトとしたそうです。
ハッと気づくと赤ちゃんが静かなのです。
どうしたのかなと思って赤ちゃんを見ると、なんと大きな鼠が赤ちゃんの顔に乗っていたそうです。
びっくりしてバアチャンが手で追い払うと、鼠がピョンと跳んで宙に浮いてバアチャンを睨み付けたというのです。
鼠は大きな口を開けて威嚇してきて、前歯が牙のように尖っていたそうです。
その鼠がバアチャン目がけて飛び掛かってきた時、横から黒い物が鼠にぶつかって、畳の上に転がったそうです。
あの家出した太めの猫が、化け鼠を両手の爪でしっかり押さえて、鼠の首辺りに噛みついていたのです。
化け鼠は手足を二度三度振るわせると動かなくなり、みるみる小さくなって最後には消えてしまいました。
「ありゃ、お前が助けてくれたのかいな」と言ってバアチャンが猫を抱き上げようとしたら、手が猫を素通りしたと言います。
猫はバアチャンの手を二度ばかり舌で舐めた後、スーッと消えていったと言います。
その日以後、赤ちゃんはもう熱を出さなくなりました。
でもやっぱりあの猫は、何処を捜しても見つからなかったのです。
猫も意外と恩を覚えているようです。
きっと眠たそうな目をしてどこかの塀の上で寝ながら、バァチャン家を守っているのではないかと思います。