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夕焼け金魚
不思議な話
小説もどきや日々の出来事
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謀殺3
2012-11-30
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創作
武田家滅亡の知らせは、驚愕をもって全国に知らされた。 備中高松城を攻囲していた羽柴秀吉のもとにも、姫路城留守役の前野長泰から上方の情勢とともに報告された。 手紙には武田家滅亡の様子や織田信長の様子、そして甲斐攻めの総大将であった織田信忠の事や明智光秀が信長に叱責された様子も詳細に書かれていた。 秀吉は、この手紙を弟羽柴秀長と参謀格の黒田官兵衛にも見せた。 「秀長、さすが上様、武田家も滅亡した今、 . . .
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謀殺2
2012-11-29
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創作
天正十年三月二日、夜明けと共に織田信忠は高遠城の搦手門に歓声と共に殺到した。 大手門口には、森勝茂、団平八、毛利河内に川尻与兵衛等の剛の者が攻めかかった。 しかし、高遠城は城主仁科盛信以下の武田の精鋭が守る城で、城への道も狭く大軍での行動が思うように動けず、再三撃退される有様であった。 「一益、どうした、あのような小城一つ抜けないのか」 「若君、山城にて思うように動けませぬ。一度兵を引いて、精鋭の . . .
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謀殺1
2012-11-28
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創作
「これっぱかしの城に、ようも仰山連れてきたものじゃ」 「ああ、まるで昼間のような明るさじゃ」 眼下に広がる篝火の明かりが、見渡す限りの山裾までに広がっている。 天正十年三月一日伊那高遠城は五万の織田信忠軍に包囲された。 立て籠もる武田軍は仁科盛信を大将に三千という。もとより、玉砕覚悟の戦いであった。 口では強がりを言っても、やはり寂しいものがあった。天下最強と言われた甲斐武田が後詰めも得られなくな . . .
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三方ケ原の戦い4
2012-11-23
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創作
午後五時過ぎ、後続の穴山部隊が坂を登りきった。 どうした家康、貴重な時間を潰して臆したか。 武田に危険な時間が過ぎた。 「仕掛けよ」 信玄の軍扇が、静かに小山田隊を示した。百足の旗印が小山田隊に着くと、具足を着けていない野良着姿の者が、ヒューンヒューンと縄に石を縛り付けた、現代のハンマー投げの様な武器を回して、徳川方に近づいた。 徳川前面近くで、一斉に徳川方に石礫を投げ込み始めた。石礫とい . . .
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三方ケ原の戦い3
2012-11-21
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創作
十二月二十一日早朝、二俣城を出発した武田軍は、天竜川を鹿島・神増の二カ所で渡河して、秋葉街道を南下した。そのまま真っ直ぐ南下すれば浜松であった。 家康は、武田軍が天竜川を渡河しているとの知らせを聞いて、寝所を出た。 「酒井、武田の動き逐一知らせよ」 家康は、武田が見せる隙の罠を、咬み破って見せる気構えに満ち満ちていた。 武田軍は、欠下辺りから予想通り三方ケ原へと登り始めた。 正午頃大菩薩山に陣 . . .
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三方ケ原の戦い2
2012-11-20
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創作
二俣城内での武田軍議の内容が浜松の徳川家康に、その夜遅く伝わった。 武田方の忍びが徳川方にわざと情報操作をして流していた。 徳川方も流される情報が全て真実ではなくとも、重要な敵方の情報であった。 「酒井、この話なんと聞く」 「謀略かと、我等をおびき出す、罠かと」 「分かっておるわ、しかし、本当に三河に攻め込まれると、岡崎の信康では、信玄坊主の言いなりであろう」 「我等が、ここに居座る限り、信玄坊 . . .
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三方ヶ原の戦い1
2012-11-18
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創作
武田信玄像です 元亀2年(1571)十月、関東の驍将北条氏康病没。 彼は死に臨み甲斐武田との同盟を復活することを氏政に遺言した。北条との甲相同盟が復活した武田信玄は、織田信長に対して越前朝倉・大阪本願寺・阿波三好と大がかりな包囲網を形成して、翌元亀3年十月遠江・三河の徳川領に進入した。 信玄は事前に大規模な調略を行って遠江の地侍を味方に . . .
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春日堤の戦い
2012-11-16
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創作
元亀元年(1570)九月十二日夜半。 摂津海老名の砦を囲んでいた織田軍は、突然鳴り響いた早鐘の音に起こされた。 真っ暗闇の森の中から、静かに低く念仏の声が響く。 「本願寺、一向宗が我等に刃向かってきた」 「夜戦の準備をしろ、攻めて来るぞ」 織田軍は、突然の本願寺からの攻撃に混乱の極みに達した。篝火が倒れ、織田の陣から炎が上がった。それを合図のように、回りから一斉に鉄砲が撃ち込まれた。たちまち . . .
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桶狭間9 決戦
2012-11-13
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創作
信長が中島砦に入った頃、今川義元は桶狭間山本陣に到着していた。前日未明からの行軍であり、日の出と共に強い日差しに照らされて甲冑を着ているだけでも疲れが出て、本陣という柵や塀のあるところについて今川本軍の兵は甲冑を脱いで一息ついていた。 本陣備えは三浦佐馬助義就の兵二千が警護にあたり他の兵は木の陰などで休憩を始めていた。 「殿、警護は私どもの兵に任せて他の者は一度休むように申されればいかがでしょう . . .
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桶狭間8 出撃
2012-11-11
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創作
五月十九日午前四時頃。眠っていたのか目覚めていたのか、自分でも判然としない信長が、廊下を早足で来る音を聞いた。ゆっくり起きあがり太刀を取ると、廊下とは反対側の部屋の片隅に身を置いた。暗闇の中で刀に手をかけて身構える。今川二万に恐れを抱いた誰かが信長の頸を持参して、裏切るかも知れない。早足は信長の寝所前で止まった。 「殿」今宵の小姓頭長谷川橋介の静かな声がした。 「うむ、何か」 「丸根砦の佐久間大 . . .
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