特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

ソウルのガイドブックを信じるな!

2005-03-05 07:12:32 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温-4.1度。最高気温3度。
 
 ソウルの観光ガイドブックに載っている“お目当ての店”が、実際に行ってみたら陰も形も無かったという経験をされたことはないだろうか?

 韓国の人は商売に対する基本的な考え方が日本のそれと大きく違う。
 日本の場合、歴史と伝統を重んじ、“のれん”を代々大切に引き継いでゆくのが普通だ。そんな“商人”に対する社会的地位も決して低くはない。むしろ老舗に対する社会的評価は高いだろう。

 それに対して韓国の商売は“流行を追った短期集中型”が多い。
 歴史的にも“商人”に対する社会的な地位が低いというのも原因の一つだが、資金稼ぎの一つの方法としてのみ考えている人が多いせいか、必要な資金が稼げれば何の未練もなく、あっさりと店を閉じてしまう。それも何の前触れもなく、突然にだ。

 新しいお店が開店したと思ったら、三ヶ月もしないうちに他のお店に変わっていたり、同じお店だと思って入ったら、“居抜き”で経営者が変わっていたりして、味やサービスの質が著しく低下しているなんてことは日常茶飯事だ。先にも述べたように“商売=金儲け”という考え方が強いので、一つの店が流行ると“右へ倣え”式で同じようなお店が雨後の竹の子のように街中に溢れるのだ。

 最近では「スタバ」をはじめとしたエスプレッソなどのコーヒー専門店。そして「ポンジュク」などの韓国の伝統おかゆ専門店。更には日本の讃岐うどん専門店などが次々とオープンしている。

 そして当然のように、時間が経つにつれて“単に流行を追った店”は淘汰されてゆくのだ。

 スタンプカードのスタンプがあと一つで全て埋まるので、久しぶりにコーヒーを飲もうとわざわ遠くのお店に足を運んで見ると、「閉店」していたなんて時は本当に悔しい。真っ暗で人気(ひとけ)の無い店内を見つめながら呆然と立ち尽くす。埃にまみれたガラスに映った自分に向かって「今まで飲んだコーヒーを返せ!」とつぶやく自分自身がつくづくばかばかしく思えて涙が出てくる

 今朝は大学院の同期の送別会があり、十一時に学校前の「KFC」で待ち合わせる約束をした。
 時間通りに待ち合わせ場所に行くと、つい半月前まで確かに“その場所”にあった「KFC」が跡形も無く消えていた。コンクリートの躯体がむき出しになった店内では小型ショベルカーのエンジンが、激しいうなり声を上げていた。
 
 こんな具合だから、ソウルのガイドブックを安易に信じてはいけない。別に出版社が悪いという訳では決して無い。韓国のビジネススタイルが問題なのである。

 ソウルへご旅行される際には、最新の情報をチェックされることを強くお薦めします。
 いくら韓国旅行が安いとはいえ、わざわざパスポートを持ち、飛行機に乗って出かけたのに、お目当てのお店が潰れていたとしたら、そのショックは相当なものだろう。

 写真は“閉店せずに頑張っている”ソウル市内の「KFC」。

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