新新☆もこほじゃほろみ日記

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広隆寺

2008-01-13 | 仏像
さて、京都の仏像スポット広隆寺の話である。

ここの呼び物は何といっても国宝第一号の誉れ高い「弥勒菩薩半跏思惟像」である(私はこの仏は浅田真央に似ていると密かに思っている)。他にも優れた仏像が目白押しである。

この寺は主だった仏像を霊宝館という収蔵庫に納めて展示している。その照明の当て方がカッコよく、近代的な博物館などにありがちな「もの」扱いの感じが薄いのがよい。

それでも仏像は伝統的なお寺の建物に祀ってあればこそという人は、講堂(赤堂ともいう)を見るがよい。古代仏殿の列柱形式の面影を残した正面から、見上げるばかりの阿弥陀仏坐像(平安初期;国宝)に注目しよう。薄暗い空間から両手に説法印を結びこちらを見下ろす視線は厳しく、恐ろしさすら感じる。阿弥陀というと慈悲ばかりが強調されるが、浄土教流行前に造られた密教系の阿弥陀は、なかなか威厳に満ちている。

もう3年半も前になるが、私は家族で京都を旅し広隆寺を訪れた。その時のことをこんな風に書いた。以下自分の文章の引用。

 太秦の駅からすぐ見える広隆寺に行く。ここは聖徳太子ゆかりの寺で、京都エリアでは最も古い寺であろう。境内に入り、まず右前方の赤堂ともいう講堂を見る。この建築は平安末期から焼けていない貴重な遺構だが、残念ながら鎌倉時代に大改修され、禅寺みたいな火頭窓をつけられるなどオリジナルの形を著しく失っている。前面だけは床板を張らず列柱を残し、上代様式の名残がある。

 中央の阿弥陀如来は珍しく中品中正の印を結ぶ大きな仏である。定朝様ではなく、平安初期の密教的な重々しい阿弥陀仏でけっこうコワイ。両脇が観音・勢至ではなく虚空蔵菩薩と地蔵菩薩なのも変わっている。

 いよいよ広隆寺の目玉、霊宝館に入る。ここは東寺・三十三間堂と並んで、京都で最も勝れた仏像に会える場所である。(中略)

 ここの目玉は、なんといってもその有名な弥勒菩薩半跏思惟像である。国宝第1号でも有名だ。右手で頬杖をつくその表情は不思議な微笑をたたえ「東洋のモナリザ」といわれるだけのことはある。この弥勒、おそらく聖徳太子も実際に見たことがあると思うと、歴史の長さに気が遠くなる。

 向かいには千手観音立像、千手観音座象、不空絹索観音が並んでいる。いずれも堂々と大きい。真ん中の千手観音坐像は手先が欠損しているが、やわらかで官能的な表情は、観心寺の如意輪観音(写真でしか見たことがないが)に通じるものがある。寺の開祖で聖徳太子の友人だった秦川勝夫妻の像がある。なぜかとても怖い顔をしていた。その他にもこの霊宝館には四天王や十二神将、ピースサインをしている蔵王権現など、いい仏件が目白押しなので仏像ファンには絶対に外せない。また照明が上手で、こういう収納庫にありがちな味気なさが感じられないのも嬉しい。


京都紀行はHP(アーカイブ)に全文があります。御用とお急ぎでない方は読んでみて下さい。
http://www.geocities.jp/johannes_schiffberg/Kyotokikou.html


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