しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「夏を殺す少女」  アンドレアス・グルーバー 

2015年01月07日 | 読書
「夏を殺す少女」  アンドレアス・グルーバー     創元推理文庫     
 RACHESOMMER         酒寄進一・訳

酔った元小児科医がマンホールにはまって死亡。
市会議員が山道を運転中にエアバックが作動し、運転をあやまり死亡。
どちらもつまらない案件のはずだった。
事故の現場に、ひとりの娘の姿がなければ。
片方の案件を担当していた先輩弁護士が、謎の死をとげなければ。
一見無関係な出来事の奥に潜むただならぬ気配。
弁護士エヴェリーンは深入りしていく。
一方ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターは、病院での少女の不審死を調べていた。
オーストリアの弁護士とドイツの刑事の軌跡が出合うとき、事件が恐るべき姿をあらわし始める。
ドイツでセンセーションを巻き起こした衝撃のミステリ登場。
                <文庫本1頁目より>








2つの全く関係がなさそうな連続殺人事件。
しかし、2つとも事故に見せかける所は似ている。
被害者が成功者と言える大人と、精神科に入院している少女と言うのは全く違うが。
まずそれが殺人ではなく、事故や自殺と思われ、それが殺人だったと分かる所から始まる。
そして2つが結びついていくと流れが、スムーズでテンポもいい。
ただ、そんなに簡単に殺人が上手く行くのかは疑問だ。
ミステリとしては、なんとなく先が見えるようで、謎解きとしては物足りない。
実際にはもっと複雑になりそうな状況も、単一に統一している感じも。
設定があまりにも残酷で悲惨だ。
殺人そのものも悲惨なことだが。
殺されても当然の人物だった、と思ってしまうのも嫌な気持ちになる。
人間は、そんなに自分の欲望を抑えられないのだろうか。
他人に迷惑の掛からない欲望ならいいが、犯罪だと言う認識もないなんて。
後味はあまりよくない。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「首折り男のための協奏曲」... | トップ | 「貘の檻」  道尾秀介  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事