しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「首折り男のための協奏曲」  伊坂幸太郎 

2015年01月06日 | 読書
「首折り男のための協奏曲」  伊坂幸太郎     新潮社     

7編からなる短編集。

「首折り男の周辺」
殺人事件の容疑者の人物像がテレビで紹介される。
それを見ていた、若林順一、絵美夫妻は、隣のおアパートの住人に似ていると思った。
小笠原稔は繁華街で、「大藪」と声を掛けられるが、それは人違いだった。
しかし、外見がそっくりらしく、気の弱い小笠原はその大藪の代わりに、怪しい仕事をする羽目に陥る。

「濡れ衣の話」
息子を車で撥ねられて亡くした父親。
3年後、息子を撥ねた女と出会い、女を殺してしまう。
直後に、警察と名乗る男に捕まり殺した経緯を話す。
刑事は、らしからぬ事を言い出す。

「僕の舟」
黒澤は探偵として、人探しをした。
それは若林絵美の若い時に出会った男性。
銀座で出会い、4日間だけ同じ時間に会い、名前も知らずに別れた相手。
絵美の夫、順一は癌の悪化でほとんど意識がなかった。
黒澤は病室で、絵美に報告をする。

「人間らしく」
黒澤は、依頼人から義理の弟の浮気の証拠を取って欲しと頼まれる。
調査で作並温泉に行くが、帰れなくなり友人で小説家の窪田の家に泊めてもらう。
窪田はクワガタの飼育をしていた。
窪田はクワガタの話や、ある随筆で「平和がいいね」と書いて色々言われたことなど、話しをする。

「月曜日から逃げろ」
黒澤があるテレビディレクターから、自分の部屋にある盗品の絵を返して欲しいと頼まれる。
それは知らないうちに、自分の部屋にあったと言う。

「相談役の話」
山家清兵衛(やんべせいべい)は伊達政宗の息子の秀宗の守役として宇和島に赴く。
実直で真面目な山家は庶民には好かれるが、藩士には疎まれる。
そして、42歳で暗殺される。
その後、暗殺に関係があったと思われる人物の事故死が続いたと言う。
それと同じような話が現在の仙台で起こっていると言う。
話しを聞いた小説家の窪田はある調査を黒澤に頼む。

「合コンの話」
―物語のあらすじ
男は合コンに参加する。
約2時間のごく普通の合コンだった。
楽しい会話とはっとする出会いがあるものの、人生は変わらない。
もちろん、世界もかわらない。
ここから肉付けされていく物語。







統一性がありそうな、そうでもないような。
首折り男とは、その言葉通り首の骨を折って殺す男のこと。
そんな男が登場して、泥棒の黒澤も半分主人公。
そして暴力や苛めの話もある。
あまり好きではない方の伊坂さんの世界。
面白さよりも嫌な思いの方を感じてしまう。
人助けのいい話であったりするのだが、その前の気持ちが消えない。
もっと違う方法がないのだろうかと思ってしまう。
殺伐とした社会は、実際そうなのかも知れないが。
不条理な苛めに対しても、なんの手立てもないのは悲しい。
気まぐれな神様で左右される世界。
だから不条理なのだろうか。

不思議な現象や事態を面白く書いている物も。
「相談役の話」や「合コンの話」が面白かった。
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