しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「不審者」  井岡瞬 

2020年09月08日 | 読書
「不審者」  井岡瞬   集英社   

32歳の折尾里佳子は夫の秀嗣と5歳の息子洸太と75歳の義母の治子と3人暮らし。
里佳子は自宅で「校正・校閲」の仕事をしながら、家庭を守っていた。
特に認知症が出始めている治子が洸太に影響を及ぼさないように気を遣っていた。
ある日、秀嗣がサプライズとして呼んだ客が、21年前に両親の離婚で別れた兄の優平だった。
治子が始め、優平を息子じゃないと言った事や、余りの唐突さに里佳子は落ち着かない気持ちなる。
しかし、何事も無頓着な秀嗣はそのまま泊まることを勧め、優平は居候となる。
人見知りをした洸太も優平に懐き、治子も受け入れるが、家庭に異物が入ったように、里佳子は優平を受け入れられないでいた。
そして、家庭内で幾つかの事件が起こり、里佳子は優平に不信感を募らせていく。
21年たって突然現れた目的は何か、と。






タイトル通り、家庭に「不審者」が入り込む。
守るべきは、息子の洸太の将来のみ。
折尾家の財産は全て洸太に残したい。
そう考えていた、里佳子の奮戦の物語。
しかし、里佳子自身も謎がある。
冒頭で赤ん坊を亡くしているはずなので、洸太はどこから来たのだろう。
それを隠して守りたいから、余計に必死になるのか、と。
洸太に対する感情は尋常ではない。
感情移入は出来ない人物だが、優平の不気味さが怖くて、気持ちは里佳子を応援。
優平にはどんな謎が潜んでいるのかと思っていた。
物語は予想していない展開に。
すっかり意表を突かれた。
しかし、少々上手く行き過ぎの感もあり、そんなに簡単に解決するのか、と。

「校正・校閲」の仕事が分かって面白かった。
誤字脱字だけでなく、そういう細かい事もチェックしてくれる人が作家さんにはいるのだ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ドロシイ殺し」 小林泰三 | トップ | 「急行奥只見殺人事件」  ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事