しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「法月綸太郎の消息」  法月綸太郎 

2020年09月21日 | 読書
「法月綸太郎の消息」  法月綸太郎    講談社  

4編からなる短編集。

「白面のたてがみ」  
ホームズ探偵譚の異色作「白面の兵士」と「ライオンのたてがみ」。
この2作の裏に隠された、作者コナン・ドイルをめぐる意外なトラップを突き止める。
 <単行本カバー見返し側より>

チェスタトンとコナン・ドイルの関係性について。
ブラウン神父とホームズは真逆の探偵。

「あべこべの遺書」    
父・法月警視の担当する事件を「安楽椅子探偵」のように綸太郎が解明する。その1。
2人の人間が相次いで不審な死を遂げた。
ひとりは転落し、もうひとりは服毒死。
どちらも手書きの遺書が残されていた。
しかし、その遺書は自分のではなく、それぞれ双方の物。
死んだ場所も相手の自宅だった。

「殺さぬ先の自首」
父・法月警視の担当する事件を「安楽椅子探偵」のように綸太郎が解明する。その2。
都内の所轄署に、誰某を殺したと自首して来た男がいたが、調べると誰某は生きていた。
しかし9日後にその誰某が殺されて発見される。
その時の自供と凶器は同じだったが、殺された場所は違っていた。

「カーテンコール」
ポアロの最後の事件として名高い『カーテン』に仕組まれた、作者アガサ・クリスティーの入念な企みとは?
物語の背後が息を呑むほど鮮やかに解読される。
 <単行本カバー見返し側より>
カーテンで死んだのはエルキュール・ポアロではなく、弟のアシル・ポアロだった。
まず、ポアロに弟がいたのかどうか。
エルキュールギリシャ語のヘラクレス。アシルはギリシャ語のアキレス。







「白面のたてがみ」 と「カーテンコール」はそれぞれの作品から作者の裏に秘めた思いなどを読み取り、謎を解明していく。
ホームズの方はあまり記憶にない作品だったので、「ふーん、そうなんだ」と読み進めている。
ポアロの方は、ポアロには弟のアシルが実在したのか、から始まり、クリスティーのポアロに対する心情まで推測して面白かった。
テレビシリーズ、デヴィッド・スーシェの「名探偵ポワロ」が大好きなので、より覚えていて話について行ける感じ。
ギリシャ神話も多少は知っているが。しっかり覚えるには難しい。
「カーテン」も「レーン最後の事件」に似ていると気になっていたので、その話も面白い。
ただ、『ビッグ4』は記憶に残っていない。

「殺さぬ先の自首」はタイトルを見た時に、星新一さんのショートショートを思い出した。
星さんの方のタイトルが思い出せないが、とても印象深いゾクゾクッとする物語。
こちらは霊能者が事件に絡んで、あれっ?と思うが、納得の推理でまとまる。
「あべこべの遺書」 は、色々な推理がポンポン出て来る所が面白い。
最後までほんとうかどうかは分からないが、結構複雑な事件。

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