しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「龍神の雨」   道尾秀介 

2011年11月03日 | 読書
「龍神の雨」   道尾秀介     新潮社

19歳の添木田蓮と中3の楓兄妹は母親を交通事故で亡くし、再婚まもない義理の父親陸男と暮らす。
陸男は母の死後、酒を飲み暴力を振るうようになる。
そして、会社を辞め部屋に籠る生活をしていた。
楓に対して許しがたい行為があり、蓮は殺したいと思うようになる。
中2の溝田辰也と小5の圭介兄弟は、心臓が悪かった母を2年前に事故で亡くす。
父親は、その前から知り合いだった里江と再婚する。
しかし、父親も癌で死亡。
辰也は、母親は事故ではなく里江が殺したと圭介に話し、懐こうとはしなかった。
大型の台風が近づいた9月13日月曜日、蓮は事故に見せかけて父親を殺す計画を実行に移す。
辰也は、里江からの反発心から万引きなどしていたが、この日は圭介も巻き込もうとする。
向かった店は、蓮がアルバイトをする“レッド・タン”だった。





暗澹とした気持ちを抱えた人たちの物語。
それは、心の中で自分が生み出してしまったもの。
雨の中に龍が見えるのは、どんな心境の時だろう。
自分の心でも、コントロールは難しい。
ましてや他人。
自分が思っていた人と、本当は大きく違うと分かった時の恐ろしさ。
まあ、ここに登場するように特別に大きく外れたら愕然するしかないけれど。
思い違いから相手を誤解したり、自分の気持ちを誤魔化すために相手せいにしたり。
そんな心理が怖い物語。
こんな感じの物語、他にもあるなと思いつつ、ゾクリとさせられる。
しかし、蓮と楓の兄妹は人が良過ぎ。と言うか、単純。
いや、まだ若いからか。素直に育っているのだろう。

ただ、あまり深くはなく、ちょっとテレビドラマを見ているような感じがした。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「絡新婦の理」   京極夏彦  | トップ | 「音のもなく少女は」  ボ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事