しましましっぽ

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「絡新婦の理」   京極夏彦 

2011年10月25日 | 読書
「絡新婦の理」   京極夏彦        講談社文庫

『目潰し魔・平野』の連続殺人が千葉の勝浦近辺で起こっていた。
『目潰し魔』の第4の被害は東京の連れ込み宿で起き木場刑事はその現場にいた。
被害者、前島八千代は、老舗呉服屋の妻で、蜘蛛を名乗る者から、呼び出しを受けていた。
第3の被害者、山本純子は千葉の勝浦にある、聖ベルナール女学院の教師。
女学院では、「蜘蛛の僕」と言うグループがあり、黒魔術を行い、山本は呪い殺されたとの噂があった。
その呪われた一人に、前島八千代もいた。
そして、学院には「黒い聖母」のが暗躍していた。
学院を創設したのは、地元の富豪、織作家。
織作家は女系家族で、入り婿は早死にするという祟りがあるという話があった。

百鬼夜行シリーズ第5段。






今回は、蜘蛛。
蜘蛛を騙る人物に、蜘蛛のような作りの屋敷。
物語は、蜘蛛の巣のように周りを廻りながら中心に近づいて行く。
真っ直ぐ直線に行ってもいいのだが、それだと面白みがない。
結局、なくても影響がなかった殺人が、たくさんある。
それがこの物語の、ミソなのだ。
最後はひとつの中心に納まって行く。
何だか、うまく繋がって凄い。
どんどん長くなるこのシリーズ。
しかし、長さは気にならずに読める。
今回は殺人魔が、ふたりも出てくるのだから、当然長くなる。
京極堂が落とすために語る内容も、基督教、ユダヤ教、神話、悪魔、フェミニズム。
たくさんあって、知識の豊富さに圧倒される。
人を操る方法は、とても興味深かった。
論議は、最初はきちんと考えを持っているようでもやり取りしていると、段々自分の言っていることも分からなくなったりする。
そして、自分に自信がなくなる。
京極堂の落とすとは、そんな感じ。
頭の回転が速くないと、太刀打ち出来ない。

これだけたくさん死んでしまうもの珍しい。
そして誰もいなくなった、だ。
ラストが楚々として終わるが、後味は悪い。
ラストから、始めに戻る物語。
始めに訳が分からずに読んでいるのだが、終わって読むと、書いてあったことは何一つ頭に残っていなかった。
ただ一言「あなたが―蜘蛛だったのですね」だけ。
これを読んだから、蜘蛛は女と始めから分かっていたのかとも思ったが、タイトルが絡新婦だから、女か。
関口君は今回はお休みかと思ったら、最後に出て来た。
関口君の語りでないところも、今までと雰囲気が違った。
景色として、桜が浮かぶ。


それでも、最後、京極堂の殺人犯の扱いは随分違う気がする。

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