しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「無垢なる骨」  リチャード・バリー

2010年03月13日 | 読書
「無垢なる骨」  リチャード・バリー   早川 ミステリアス・プレス文庫
  THE INNOCENTS      広瀬順弘・訳

1990年、カリフォルニア。
砂漠地帯で鉄砲水があり、子どもの白骨体が7体発見される。
一緒に名前が刻まれたメダルが見つかる。
メキシコから移民して、レストランを経営するイグナシオ・レイエスは、そのメダルから白骨体のひとりが息子のベニートであることを知る。
イグナシオは家族でアメリカに移民するために、ベニートを養子斡旋業者に渡していた。
幸せに暮していると思っていたベニートが何故死んだのか、その調査を私立探偵のウィル・ハーデスティに託す。
ハーデスティは11歳のひとり息子を事故で失い、その責任と喪失感で自暴自棄になっていた。
しかし、息子を思う気持ちに触れ、調査を引き受ける。



メキシコからの不法移民。
貧困故、養子に出した方が幸せになれると説得され、子どもを手放した親の気持ち。
それがまず心に痛い。
子どもたちの死の謎が分かっても、すっきりとはしない結末。
探偵のハーデスティの子どもを亡くして苦しんでいる。
始めから、悲しい物語。
加えて、被害者は増えて行く。
依頼したイグナシオは不法移民だったため、警察に伝えることは出来なかったのだが。
途中から、ハーデスティは警察と情報交換をして行くが、もっと早ければと思う。
危険な人物が野放しになっていたのが分かっていたのだから。
情報を得ることや、人を探すことは個人では限界がある。
もう少し、何とかなったのではと思える。

移民、養子、多彩な宗教などは、国境が接しない日本とは大きな違い。
物語の中でしか知らない世界だが、今も変わらないことが起こっているのだろう。

物語の中の、神父の言葉。
「たとえ嘘をついても、神に喜ばれないにしても、善い人間にはなれる」
「善い人間とは?」
「より大きな善のためには小さな善はやむをえず犠牲にし、神に許しを請うて毎日祈る人間です」
これは、どうなのだろう。
小さな犠牲にされる人間には堪らないけれど。
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