しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「火星に住むつもりかい?」  伊坂幸太郎 

2016年10月21日 | 読書
「火星に住むつもりかい?」  伊坂幸太郎   光文社   
LIFE ON MARS?

テロから国民を守る為に警視庁に『地域の安全を守る課』が出来る。
そして安全地区が1年間の巡回制でやって来て、平和警察が配置される。
今年は、宮城と三重と石川。
平和警察は一般住民から情報を集め調査していく。
そして逮捕されたテロリストは、4か月に1度、公開処刑される。
処刑の方法はステンレスで出来たギロチン。
少年法も平和警察には適応されない。
平和警察の取り調べは拷問で、1度疑いを掛けられて自由になった人はいないと噂されていた。
そんな仙台で、黒いつなぎを着て不思議な武器を持ち人助けをする男が現れ、正義の味方と言われる。
正義の味方は、警察の取り調べ室から2人の容疑者を救出する。
この事件のために、東京から特別捜査室に所属している真壁鴻一郎捜査官が送り込まれる。










平和警察という名の元に、やりたい放題が罷り通る社会。
住民は気に入らない人は密告すれば、平和警察が捕まえに来る。
そして、テロリストだと決めつけて、自分たちが聞きたい答えを言うまで拷問。
その為には家族も利用する。
そして、公開処刑。
「まさか、あの人がそんな事をしていたなんて」と言う思いは、「処刑されたのだから、そうだったのだろう。人は見かけによらないものだ」に変わる。
しかもこの時代にギロチンで公開処刑だなんて。
何とも読んでいて、気持ちが悪く、怖い話。
正義の味方が出て来ても、救いようのなさは変わらない。
そんな嫌な世界の話だが。
もしかしたらこれは物語だけでなく、現実にも起こり得る話しかも、と思えて来た。
多くの人がオカシイと思っても、1部の人間に押し切られ変えられない。
そんな世界にならないようにしないと。

最初はそんな感じで読むのも何だか嫌だったのだが。
後半は、物語としても謎解きの要素も入って来て面白くなる。
久慈羊介のこと。大森鷗外のこと。
この物語の中で、この社会を変えようとしたのは、警察の上層部の人だったが。
本当はもっとみんなが考えて、声を上げなければいけないのだろう。
そして、この物語には色々な考える要素が盛り込まれている。
偽善に付いてもそう。
人はなぜ、そんなにも他人を気にするのだろう。
孤独に耐えられないからなのか。
人はなぜ、そんなにも他人の事に首を突っ込もうとするのだろう。
自分と比べて、自分を優位に置きたいから。
自分をしっかり持たないと、色々な所から付け込まれる。
火星に住むという意味も、読むと分かる。
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