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読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「白銀の墟 玄の月 十二国記」 小野不由美

2020年10月10日 | 読書
「十二国記 白銀の墟 玄の月」(再読)  小野不由美 新潮文庫 1~4巻

「黄昏の岸 暁の天」の続編。
泰麒と李斎は2人だけで戴国に戻る。
戴国は、阿選が驍宗の将軍たちや反対勢力を根こそぎ排除。
逃れた先では里ごと壊滅させたことで里がいくつも消え、荒れ果てていた。
阿選は驍宗を追い落としておきながら政は何もしないで奥に籠っていた。
戴を救うには王を見つけるしかない。
白雉は落ちていないから、驍宗は存命と確信している泰麒と李斎は王を探し始める。
そんな中で、阿選を偽王だとし、驍宗を探す人たちと巡り合う。
将軍英章の麾下・項梁や阿選に壊滅させられた瑞雲観の道観・思去、神農の酆都。
やがて、玉泉のある函養山に目星をつける。
函養山は、驍宗が行方不明になるきっかけとなる反乱を起こした土匪が支配していた。
冬が近づくなか、泰麒は民の救済を急ぎたいと、白圭宮に戻る。
白圭宮は、指揮系統が崩壊した混沌の中にあった。
泰麒は阿選に会わせて貰えず、策略を巡らせる。





発売された時に1度読んだのだが、感想を書く時間がなかった。
また、読んでいても間が空いたり、登場人物を把握しきれないまま先を急いでしまったりした。
展開の遅さが気になり、物語が動いたと思ったらあっけなく終わり、今までの物語からしたら、あまり面白さを感じられなかった。
自分でちゃんと理解したのか不安な面もあった。
今回は自分で登場人物表を作り、見失わないようにした。
登場人物が多いが、きちんと把握して、読み方も間違えないようにしたかったから。
今回は、しっかり状況など理解出来たと思う。
展開の遅さもあまり気にならなかったし、面白さも増した。
泰麒と李斎が2人だけで慶国を出立して、どう仲間を増やして驍宗を探して行くのか。
その過程がゆっくりなのは、仕方がないのだろう。
戴国の現状なども多方面から書かれる。これはその後何か繋がりがあるからだろうと。
しかし、驍宗がどうなっているのか、阿選が何故、何もしないでいるのか、その謎を早く知りたいと思うとまどろっこしく感じるのも事実。
読んでいて、知りたい事は他にもあったが、読み終わり全てがわかったかと言うとそうではなかった。
最大の謎は、1番の黒幕だと途中で分かったと思っていた人物が、「敵ではない」と泰麒が言ったこと。
「敵」ではないが「味方」でもないと言う事か。
しかし、阿選を唆し、妖魔を操っていたのだから、黒幕である事には間違いがないのではないか。
そのせいで多くの人が命を落としている。
天の摂理がどうあるのか、それを知る為に周りを動かして試している。
この人物が今回のことを演出していたのだ。

しかし、驍宗も泰麒も、もっと力を発揮するのかと思ったのだが。
王であると言うだけでは、何も起こらない。
泰麒が治癒するのは、驍宗と再会し、驍宗の手が触れた時だと予想していた。
王の手は癒しの手だから。
しかし、泰麒はそれ以前に麒麟としての力を取り戻していた。
あの弾劾の前に治っていたのなら、直ぐに驍宗を探しに行った方が良かったのでは。
あんなに犠牲を出さずに済んだのではないか。
そこまでは治っていなかったことなのか。
それにしてもあの奪還劇も出来過ぎ。
耶利の強さは尋常ではない。
黄朱がこの世界で果たす役割はなんだろう。
そう、耶利には黄朱の主人がいた。
玄管は耶利だと思ったが、その主人だったのか。
多くの人が死んで、暗い悲痛な物語。
今回はそれぞれの人物を良く覚えていたので、その人たちが死んでいくのが堪らなく悲しかった。
その後の事は簡単に書かれている。
これももっとじっくりと読みたかった。
そして、阿選との対決は最後の『戴史乍書』に1行。物足りない。
驍宗と阿選がその後、顔を合わせる事はなかったのだろうか。
この直接対決が最後にあると思っていたのだ。

謎を残しているから、十二国記はまだ終わらない。
十二国はどんな世界なのだろう。
そう、十二国では何故文明や科学が発達しないのだろうか。
これも天の摂理なのか。そして天には目に見える実在がある。
陽子も疑問を持っているが、天は逆らえる存在となるのだろうか。

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