しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「セイレーンの懺悔」  中山七里 

2020年10月13日 | 読書
「セイレーンの懺悔」  中山七里   小学館   

帝都テレビの報道番組〈アフタヌーンJAPAN〉は放送倫理・番組向上機構の委員会より勧告を受ける。
「平成の切り裂きジャック事件」でジャックと警察を直接対決に導いて、被害者を増やしたとされたからだった。
それは社会部が単独で犯したエラーだった。
起死回生はスクープを取ることだった。
そんな時に女子高校生が誘拐されたと警察からマスコミに発表がある。
社会部の記者、エースの里谷太一と2年目の朝倉多香美は記者会見に駆け付ける。
16才の少女、東良綾香が誘拐され1億円の身代金の要求があったが、それ以降具体的な指示がないと言う。
報道協定が敷かれる。
里谷は、宮藤刑事を見張り始める。
それはいつも事件の本筋を外れないからだと言う。
実際に里谷の読みは当たり、2人は綾香の死体発見現場を目撃することになる。
多香美は、ファインダー越しに見た綾香の姿に衝撃を受ける。






主人公の朝倉多香美が、どうしようもない。
先輩の里谷は、何処に期待して育てようとしているのだろう。
素人でも、分かるような事が分からない。人を見る目もない。
ジャーナリストとしての気概もなく、謙虚でもない。
でもスクープの言葉に我を忘れる。
読んでいて、イライラしてしまう。
だから、物語で起こることも、多香美のせいでややこしくされているようだ。
事件報道というより、芸能レポーターのような話。
多香美を買っているのは、宮藤刑事も同じ。
あんなに、記者に対して親切な刑事もいないだろう。
そして、これはどんでん返しと言えるのか。
警察が犯人逮捕のような発表をしたら、それは〈アフタヌーンJAPAN〉と同じではないのだろうか。
その後に、真犯人がいましたと言っても。
それまでに名前まで公表されているのだから。
このときすでに、別の人物も追っていたとなればそんなことはしないだろう。
読者を欺く為とはいえ、あり得ない。
そして殺人の動機としても、弱い。
なんだか、読んでいて疲れた。
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