しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ペテロの葬列」  宮部みゆき   

2014年06月19日 | 読書
「ペテロの葬列」  宮部みゆき   集英社   

杉村三郎はバスジャックの被害に遭う。
今多コンツェルングループ広報室の仕事で、房総半島の海辺にある別荘地を訪れた帰りだった。
バスは女の運転手で、乗客は6名。
バスジャックをしたのは拳銃を持った老人だった。
要求は、3人の人物を連れて来る事。
佐藤一郎と名乗った老人は、乗客に言葉巧みに話し掛けて行く。
後で迷惑をかけたから慰謝料を払うと言う。
自分は捕まっても、協力者が払うから、希望の額を教えて欲しいと。
半信半疑か、そうあって欲しいと思う気持ちから、人質たちは金額と何に使いたいかを話し出す。
しかし、3時間で事件は終結、老人は自殺する。
そして老人が貧しい暮らしだったことが分かる。
しかし、やがて乗客たちに慰謝料が届く。








杉村三郎が主人公の3作目。
それまでも探偵役で事件と係って来たが、今度は直接自分が巻き込まれる設定。
しかしそれを調べるのも義父の特命となるのだが。
テレビで『誰か』と『名もなき毒』が放送され、それを見たので登場人物がそれに影響される。
それまで自分がどんな風の想像していたのか、思い出せない。
テレビを見た時、この人はイメージと違うと思ったのに。

物語はバスジャックに絡んだことの他にも、探偵の故・北見氏や会社OBの森信宏氏の事もあり盛り沢山。
メインは豊田商事事件を思わせる、“詐欺”と“感受性訓練 ST(センシビティ・トレーニング)”。
言葉の巧みさや会話術など、成程と思わせる。
しかし、物語で面白かったのは、起承転結の起承の部分。
転は予想できる展開で、その後の結に向かう過程と結がいまひとつ。
登場人物のそれぞれの思考がしっくり来ない。
読んでいても落ち着かない気分になる。
羽田の行動もなんか違うと思うし、森のとった行動も違うと思う。

そして極め付けが、結の後に来るもうひとつの結。
なんで今頃そんな事になるのだろう、と。
杉村がずっと我慢していたことは分かっていたが。
最後まで、振り回されて終わってしまうとは。
しかし、杉村自身逃げ出したい気持ちがあったことも事実のようだから、それが許せなかったのだろうか。
そんな気持ちが働いたのだろうか。
それにしても、変な方向に行ってしまった。

杉村シリーズは、今度は探偵になって登場するのだろうか。
このまま終わりではなく、杉村の今後を知りたい。



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