しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ドクター・デスの遺産」  中山七里 

2020年10月18日 | 読書
「ドクター・デスの遺産」  中山七里    角川書店   

男の子から警察の通信指令センターに電話が掛って来る。
「悪いお医者さんが来て、お父さんを殺しちゃたんだよ」と。
犬養隼人刑事とコンビを組んでいる高千穂明日香は、その話を聞き犬養を連れ少年に会いに行く。
少年、馬籠大地の父親の葬儀場に行き、母親から話を聞くが怪しい所はなかった。
しかし、大地からお医者さんは2人来たと聞き、母親の話との矛盾から詳しく調べ始める。
そして知ったのがドクター・デスの存在だった。
安楽死を請け負う医師。
調べる内にドクター・デスが関わったケースが明らかになって来る。
犬養の上司麻生は、ドクター・デスは快楽殺人者だと決めつける。





安楽死の問題も答えの出ないもののひとつ。
ドクター・デスはドクター・キリコを思い出させる。
そして、現実にも起きている問題。
麻生のように、安楽死に名を借りた快楽殺人と迷いもなく言い切れる人は少ないのではないだろうか。
物語にもあったが、問題はただその事だけではなく社会制度にもあると思う。
しかし、安楽死にもケースがあるだろう。
もう絶対に助からないのに、苦痛に耐えなければならないと言うのはどうなのだろう。
本人の望みがあるのに、それでも耐えろとは。
人間は他の動物には安楽死を施している。
安楽死をする為に認めている外国に行く人もいる。
もっと議論するべき問題なのだろう。
この物語も最後に究極の場面が訪れ、犬養も結論のないまま終わった感じ。
病気を抱える娘の紗耶香の事があるから、犬養の迷いも分かる。
当事者かどうかで考え方も変わってくるだろう。

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