しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「告解」  薬丸岳 

2020年10月20日 | 読書
「告解」  薬丸岳   講談社  

大学生の籬翔太は友人と飲んだ後の夜中。
恋人の栗山綾香に呼び出され雨の中、車で綾香の所へ向かう。
その途中で人を撥ねる。
衝撃を悲鳴が聞こえた事でその事を認識するが、バックミラーには赤信号が映っていた。怖くなり、そのまま車を走らせ、駐車場に止めて電車で家に戻る。
被害者は81歳の法輪君子。
夫の二三久が高熱を出し、氷が足りなくなり、コンビニに買いに行った帰りだった。
防犯カメラから、翔太は逮捕される。
翔太は取り調べで、青信号だったから人ではなく犬か猫かと思ったと証言する。
裁判では4年10か月の実刑判決を受ける。
裁判を傍聴した君子の長男昌輝は、翔太は嘘を言っていると思うが裁判とはそんなものだとも思う。
二三久は傍聴には行かず、昌輝に録音を頼んでいた。
それは、翔太に顔を知られたくなかったからで、翔太が出所した後に会う事を考えていた。






余りにも揺れ動く、翔太の気持ちに苛立たしさを覚えるが、実際はそうなのかも知れない。
被害者に謝る事や、自分の犯した罪よりも、自分を中心に考えてしまう。
確かに怖い事だろう。
周りにいる人の反応や態度で、自分の態度も変わってしまう。
綾香という人がいて、それが本当に良かった。

二三久の翔太に会いたい理由は、復讐とは思わなかったが、もっと違う事だと思っていた。
それは自分の為でもあったのだ。
二三久の抱いて来た、後悔があんな形で現れるのは少々以外だった。
自分の後悔を語れる相手は、同じ後悔を持っている人だけなのだろうか。
そんな機会を待っていたような二三久にちょっと違和感がある。
それでは君子が可哀想だ。
そして、認知症が進んでいて、その時だけあんなに筋の通った話が出来るのも、作り過ぎな感じがする。
しかし、謝罪や償いは難しい。
だから、人はルールを守って生きなくてはならないのだろう。
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