しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「神の街の殺人」 トマス・H・クック  

2006年10月16日 | 読書
敬虔なモルモン教の街ソルトレイク・シティ。
うらぶれたモーテルで黒人娼婦が絞殺される。
事件を担当したのはニューヨークから来た刑事、トム・ジャクソンと相棒のカール・レッドモンド。
カールはモルモン教で、娼婦の事件は身から出たサビと決め付け、あまり本気にはなれない。
娼婦を殺した犯人は次に雑誌記者を殺し、教会幹部を襲っていく。
教会幹部の殺人に色めき立つ警察の中で、モルモン教ではないトムは娼婦殺害の事件を追い、教会幹部殺害の係わりを見つける。
それは、モルモン教の歴史に係わることだった。


街全体が信仰に包まれたソルトレイク・シティで、落ち着かなげにいるトムに影響されて、なんとなく落ち着かない。
宗教は理想論を言っていると思うのだが、馴染めないところがある。
ニューヨークで辛い思いをして逃げてきたトムが、穏やかに過ごそうと来た街なのだと思うが、落ち着けないのは、身体に染み付いたものなのだろうか。
カールとの感覚の違いなどが面白い。
そして、ラストは皮肉な感じで、あまり納得出来ない。トムが気の毒に思える。

事件そのものは、教会の幹部が殺されて大騒ぎの警察だが、読んでいても大変さがあまりピンと来ない。
感覚的に、全く違う国の(住む世界が違う)物語として捉えてしまったので、迫力に欠け今ひとつ自分の中で盛り上がらなかった。
正体不明の犯人もはっきりはしないが、どのグループに属しているかは分かるし、何かに取り付かれている狂信者という雰囲気で、それほど怖さを感じなかった。


クックは2冊目だが、前に読んだ「心の砕ける音」とは随分雰囲気が違うと思ったが、これは初期のもの(1983)で、あちらは(2000)だった、からか。

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