しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「悪の教典」  貴志祐介 

2013年11月20日 | 読書
「悪の教典」  貴志祐介     文藝春秋  

町田市北部にある、小野路城跡にある晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司。
2年4組の担任で、生活指導部。
生徒からは「ハスミン」と愛称で呼ばれる人気の教師。
他の教師からの信頼も篤く、諸々の問題にも積極的に乗り出し、解決する。
蓮実は、そのようにして学院を自分の思い通りに支配していく。
そんな蓮実を2年4組の生徒、片桐怜花は違和感を覚える。
怜花は危険を察知する直観が備わっていた。
蓮実の表向きの顔の裏にある不気味さに恐怖を感じた。
やがて蓮実は、自分の支配の障害になり者を遠慮なく排除し始める。





かなりおぞましく残忍なので、読んでいてあまり気持ちは良くない。
いかに人を騙すか、言葉を上手く操るゲーム感覚の物語かと思ったが。
カラスを殺した時から、不気味な人物だと気が付く。
人と共感することが出来ない人間とはどんなものなのか。
それを極端に示したかったのか。
サイコパスは、極端では言い表せないかもしれないが。

前半と後半で様相が変わる。
後半は時間で刻まれ、サバイバルゲームのような。
バトルロワイアルも思い出す。
知恵を働かせる高校生の動きが、細かい。
しかし、かなり運は蓮実にあり、生徒には厳しかった。
頭が良いのかと思っていた蓮実の最後の行動は、行き当たりばったりだ。
死体を隠すには死体の山を築く、って。

ラストは罪が暴かれて、取り合えずよかった。
最後に復讐を遂げるのは、カラスのムニン(記憶)かとも思ったが。
その方が、徹底的な感じがするけれど。
兎に角、悪がそのもまま野放しにならない結末でよかった。
やはり、悪は報いを受けて欲しい。
続きがありそうな、そんな余韻もあるがどうなるのだろう。

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