しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「女友達」  新津きよみ 

2013年11月19日 | 読書
「女友達」  新津きよみ    角川ホラー文庫          

インテリア・コーディネーターの今村千鶴は29歳で独身。
賃貸しマンション、1LDKの部屋は自分の好みでまとめあげている。
仕事も充実し、自分だけの愛しい空間。
その中で一つだけ、ベンチ型のチェストだけがそぐわない。
それは2年前に別れた恋人の吉川智樹が持ち込んだ物だった。
千鶴は、智樹への思いも断ち切る為に、チェストを捨てることにする。
粗大ごみ収集場へとチェストを持って行った時、突然声を掛けられる。
それは、向かいの古いアパートに住む、重松亮子。
同じ位の年で、あまりパッとしない背が高く体格のいい女性だった。
捨てるなら欲しいと言うチェストを、千鶴は部屋まで一緒に運んで行く。
それがきっかけになり、千鶴と亮子は交流するようになる。
千鶴は智樹に、エリート意識の強さを指摘されたことがある。
それを否定するために、自分より何事も劣る亮子と友達になることが、必要だと千鶴は考えていた。
2人の関係は、千鶴が酔って亮子に助けられたことから変化して行く。
やがて、その変化が大きくなっていく。







千鶴と亮子の関係は最初から腹の探り合いのよう。
心情は千鶴の方からだけで書かれているので、亮子の方は、千鶴と同じ推測するしかない。
緊迫した感じがいい。
しかし、心の中だけだからかも知れないが、千鶴は自分の事を随分的確に分析している。
はっきり自分の嫌な所も認めるのに、嫌な所は治らないのか。
いや、嫌な所も好きなのかも知れない。
誰もが千鶴のように、分かって嫌な事をするものだろうか。
実際は、意識しない人も多いような気がするが。
どちらにしても嫌な人だと思いつつ、亮子の計画的な悪巧みを応援するような気持ちになっていたのだが。
亮子がもっと知的な存在であれば、もっと面白い。
最後はホラーになってしまい、ちょっと現実から離れて残念。
このまま、東京の舞台で違った結末を期待した。
読み終わって記録をする時に、“ホラー文庫”に気が付き「ホラーだったのだ」と。
心理サスペンスで最後まで行って欲しかった気もする。
ラストはもっと悲惨なことになりそうだったが。
そこは作者の優しさなのか。


追記
今映画公開されている「ルームメイト」に似た雰囲気のようだ。
「ルームメイト」はまだ見たり読んだりしていないが。
女は怖いってことか。
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