しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「死の記憶」 トマス・H・クック  

2006年11月06日 | 読書
1959年、スティーブ・ファリスが9歳の時、父親のウィリアムが母と兄姉を射殺して失踪する。
その時たまたま帰宅が遅れたスティーブは、それで自分が助かったと思っていた。
それから35年、レベッカという女性作家が、「家族を殺した人々の本」を書いているので、インタビューに答えて欲しいとやって来る。
インタビューに答え、その時のことを考える様になり、スティーブは記憶が蘇って来る。


心理的な話で、はっきりした結末はない物語かと思った。
想像するだけでも家族を殺した精神状態は怖いものがある。だから、スティーブがそのことを考えているだけで、闇に落ちて行くのがわかる気がする。
レベッカも謎めいていて、何か裏があるのかと思ったが・・・・。
これは、最後は父親の事件がはっきりと解決をみる。そういう物語だった。
なので、最後の方に来て、雰囲気がちょっと違った感じがした。幻想から現実に飛び出したような。
しかし、記憶をたどったことにより、スティーブはより不幸になってしまったのか。
原因はスティーブのレベッカへの思いもある。
女性が原因で自ら巻き込まれて行くパターンのひとつ。そういう所はクックとゴダードは似ている。

しかし、インタビューされたくらいで、今まで忘れていた記憶が蘇るだろうか。
最後の再会のシーンも、ちょっと都合が良すぎる気がしないでもない。
その再会のシーンがこの物語の中では1番印象に残る、いいシーンだとは思うが。
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